月22日の片頭痛。「仕方ない」と思っていた私がエムガルティを打った日【費用・初回2本の体験談】

大学生の頃から、片頭痛がある。

もう10年近くになる。

あまりに長く一緒にいるので、いつからか私は、頭痛を「治すもの」ではなく「耐えるもの」だと思うようになっていた。

私の人生はこういうものなんだ、と。

体調が悪いのが私の標準で、その状態で仕事をして、家事をして、3人の子どもを育てていく。

そうやって生きていくしかないのだと思っていた。

でも今日、その「仕方ない」を少しだけやめてみることにした。

片頭痛の予防注射、エムガルティを初めて打った。

しかも、この記事を書いている今も、頭は痛い。

画面の光が気持ち悪くて、パソコンの明るさをできるだけ暗くして、文字をなるべく見ないようにしながら音声入力している。

治療の結果は、まだ何もわからない。

だからこれは「エムガルティを打ったら人生が変わった」という記事ではない。

人生が変わるのかどうかもわからない、治療を始めたその日の記録だ。

目次

片頭痛は、痛くなる前からすでにつらい

私の場合、片頭痛が始まる前には予兆のような体調変化がある。

朝起きて頭がだるくて重い日は、「ああ、今日は来るな」と思うことが多い。

特に天候が崩れる時期はつらい。

この9月は台風や雨の日も多く、ずっと調子が悪いような感覚が続いていた。

そして私の場合、つらいのは頭痛だけではない。

パソコンで文章を読もうとしても、文字がそこにあることはわかるのに、何と書いてあるのか頭に入ってこない。

文字が頭の表面をすべっていくような感じ。

画面の光がまぶしくて、見ていると吐き気がする。

音もうるさく感じる。

暗くて静かな部屋に閉じこもっていたくなる。

でも、私はパソコンを使って仕事をしている。

これまで会社員として働いていたときには、注意力が落ちたり、文章をうまく読み取れなくなったりして、ミスにつながることもあった。

「私は社会人として普通に働くことが難しいのかもしれない」

そう思ったことも、一度や二度ではない。

普通の痛み止めが効かない。それでも生活は止まらない

実際に頭痛が始まると、私の場合は左側のこめかみ付近が脈打つように痛くなる。

そして困るのが、一般的な鎮痛薬を飲んでも、私は十分な効果を感じられないことだった。

以前、片頭痛の治療のために受診したこともある。

マクサルトやイミグランなどを処方してもらったこともあったけれど、私の場合はあまり効果を実感できなかった。

だからいつの間にか、

「痛くなったら耐える」

というのが当たり前になっていた。

けれど、頭が痛いからといって生活は止まってくれない。

夫は仕事で出張することがあり、いない日は朝から私一人だ。

3人の子どもを起こして、準備をして、保育園へ送る。

夕方になったら迎えに行く。

夕飯を食べさせる。

お風呂に入れる。

寝かせる。

本当は暗い部屋で横になっていたくても、やらなければならない。

逃れられない。

「仕事は休んでいい」と言われても、育児と家事は残っている

以前、夫から、

「仕事を休んでいいから、家事・育児をしてくれ」

と言われたことがある。

でも私にとっては、育児も家事も仕事なのだ。

つらくても身体を動かさなければ終わらない労働で、給料が発生しているか、していないかが違うだけ。

仕事を休んでも、子どものご飯は出てこない。

保育園への送迎がなくなるわけでもない。

お風呂にも入れなければならない。

誰かが代わりにやってくれる仕組みがなければ、私は結局動かなければならない。

だから体調が悪い日は、できるだけ感情を動かさないようにしていた。

淡々と家事をする。

淡々と子どもの世話をする。

できるだけエネルギーを使わない。

家族から見れば、そんな私は冷たく見えたり、怒っているように見えたりしたこともあったと思う。

でも、怒っていたわけではない。

感情を表現するための体力すら残っていなかった。

そうしないと、本当に倒れてしまいそうだった。

頭痛を記録したら、30日のうち約22日も痛かった

私は、自分の頭痛をきちんと記録するのが苦手だった。

つらい。

でも動く。

またつらい。

でも次のことをする。

そんな毎日だったから、「今月は何日痛かったか」なんて数える余裕もなかった。

ところが今回、治療を考えるにあたって、真面目に記録をつけてみた。

すると、30日のうち約22日、頭痛があった。

22日。

数字にしてみて、初めてわかった。

私は「ちょっと頭痛が多い人」ではなかった。

日常生活にかなり大きな支障が出るほど、長い時間を頭痛とともに過ごしていたのだ。

それがわかったとき、少しほっとした。

私が大げさに「つらい」と言っていたわけではなかったんだ。

こんなにつらいと感じていたことには、ちゃんと理由があったんだ。

エムガルティの存在は知っていた。でも「自分には高すぎる」と思っていた

エムガルティという片頭痛の予防注射があることは、以前から知っていた。

きっかけは妹だった。

妹はオードリーのファンで、若林さんがラジオで片頭痛のエムガルティを使った治療の効果について話していたことを教えてくれた。

「そんな注射があるんだ」

とは思った。

調べてみると、保険が適用されても高額な薬であることがわかった。

だから私の中では、収入に余裕がある人だから選べる治療、というイメージだった。

毎月何万円も自分の治療に使う。

家計のことを考えると、どうしてもためらった。

その前にできることがあるんじゃないか。

もっと健康的な食事を作ったらいいんじゃないか。

運動したほうがいいんじゃないか。

そう考えていた。

でも、考えてみれば、皮肉なことに、そもそも、それをする元気がないのだった。

元気になるために頑張る前に、「元気」を経験してみたい

今になって思う。

私はこれまで、順番を逆に考えていたんじゃないかと。

頭が痛い。

気持ち悪い。

画面を見るのもつらい。

育児と家事を終わらせるだけで精いっぱい。

そんな状態なのに、

「健康になるために運動しなきゃ」

「健康的なご飯を作らなきゃ」

と思っていた。

でも、もし治療によって頭痛そのものを減らせる可能性があるなら。

まず、それをやってみてもいいのではないか。

一度でも、

「一日、元気だった」

という状態を身体で経験してみる。

その状態を知ったうえで、運動してみようとか、料理をしてみようとか、その先を考えてもいいのではないか。

私は長い間体調が悪かったので、「元気な自分」を想像することすら難しくなっている。

体調がいい人は、普段どんな感覚で一日を過ごしているんだろう。

私には、それすらよくわからない。

元気になった自分を想像するのが、少し怖かった

そして、もう一つ気づいたことがある。

私はどこかで、体調がよくなること自体を怖がっていたのかもしれない。

もちろん、元気になりたい。

頭痛なんてないほうがいい。

でも、10年近く「体調の悪い自分」で生きてきた。

その状態に合わせて仕事を選び、予定を組み、体力を温存しながら暮らしてきた。

だから、

「もし元気になったら、私は何をするんだろう」

と考えても、何も浮かばない。

経験したことのない状態は、なかなか想像できない。

特に今いる場所がつらければつらいほど、「つらくなくなった自分」を思い描くのは難しい。

だから私は、「これは私の体質だから」「こういう人生だから」と受け入れることで、変化しないほうへ自分を置いていた部分もあったのだと思う。

夫の「それ、だいぶ大変だよね」が治療を始めるきっかけになった

そんな私の背中を押したのが夫だった。

この9月、特に体調が悪かった。

週末、朝6時ごろから子どもたちの世話をして、ご飯を食べさせ、おむつを替える。

9時ごろになって一通り終わり、子どもたちが遊ぶだけになったら、私はもう動けない。

夫に子どもたちをお願いして、昼まで寝込む。

そんな日が何度もあった。

それを見ていた夫が、

「1か月のほとんど頭痛で苦しみながら、家事も育児も仕事もしてるって、だいぶ大変だよね」

という話をしてくれた。

そして、

「高額でも、家のお金から出すのはしょうがないよ。試してみたら」

と言ってくれた。

夫自身もエムガルティについて調べてくれた。

片頭痛の予防注射にはいくつか種類があるらしいこと。

近所にも治療を受けられる病院があること。

そこまで調べてくれた。

じゃあ、行ってみよう。

そう思った。

こういうときは、鉄は熱いうちに打てだ。

その場で病院を予約した。

エムガルティ初回2本。私が実際に支払った費用

そして今日、病院へ行った。

私はてっきり1本打つのだと思っていたのだけれど、エムガルティは初回に2本を注射するとのことだった。

「2本か。めっちゃ高くなるな」

とは思った。

でも、もうその覚悟でここまで来た。

藁にもすがる思いだった。

今回の診療明細を見ると、

「エムガルティ皮下注120mg 2キット 8,480点」

となっていた。

1点10円なので、薬剤費としては84,800円。

私は3割負担なので、エムガルティ2本だけなら自己負担相当額は25,440円になる。

今回の診療全体では9,435点で、窓口で実際に支払った金額は28,310円だった。

エムガルティ以外の診療なども含めた金額だ。

安くはない。

いや、普通に高い。

しかも今後も治療を続けるなら、継続的にお金がかかる。

それでも今回は、やってみようと思った。

エムガルティを打った直後。まだ頭は痛い

そして、これを書いているのが注射を打った直後だ。

病院へ行った時点で、すでに左側に片頭痛があった。

注射を打った今も吐き気がある。

光が目に入ると気持ち悪い。

文字も、できるだけ読みたくない。

というより、まともに読めない。

パソコンの画面をかなり暗くして、ほとんど音声入力でこの記事を残している。

だから今のところ、

「打った!すごい!治った!」

みたいなことはまったくない。

まだ普通に具合が悪い。

でも、この状態も記録しておきたい。

なぜなら、もしこれから本当に体調が変わったら、私は今日の感覚を忘れてしまうかもしれないから。

これまでは、これくらい具合が悪い状態でもブログを書いてきたのだ。

毎日更新していた頃には、文章をきちんと確認できているのか自分でも怪しいくらいの状態で、投稿ボタンを押した日もあった。

それくらいギリギリのところで生活していた。

健康な人の「普通」に、自分を合わせ続けてきた

片頭痛がある人は、少数派だと思う。

まして、1か月の大半で日常生活に支障が出るほどの症状がある人は、社会の「標準」として想定されてはいない。

でも働くなら、健康な人と同じようなパフォーマンスを求められる。

子育てでも同じだ。

子どもにとっては、親の頭が痛いかどうかなんて関係ない。

遊びたい。

ご飯を食べたい。

お風呂に入りたい。

保育園にも行かなければならない。

だから私はずっと、健康な人が送っている生活の水準に、自分の身体を合わせてきた。

パートナーが「疲れた」と言ったとき、素直に優しくできないこともあった。

私は常に体調が悪いのに。

平日は一人で3人を見ている日もあるのに。

あなたがいる日まで、私はもっと頑張らなきゃいけないの?

そう思ってしまう。

頭痛は頭の中だけで終わらない。

仕事にも、育児にも、夫婦関係にも入り込んでくる。

だからもし、頭痛が減ることでそういうところまで少し変わるのなら。

それは単に「頭が痛くなくなる」という以上の変化があるんじゃないか、そんな期待がある。

一日元気に過ごす、ということを体験してみたい

今の私には、

「元気になったら、これがしたい!」

という大きな夢はない。

ただ、一日元気に過ごしてみたい。

今日は途中で体調が悪くなるんじゃないか。

また頭が痛くなるんじゃないか。

そんな不安を抱えずに、朝から夜まで穏やかに一日が過ぎていく。

それがどんな感覚なのか、体験してみたい。

まだエムガルティが私にどれくらい効くのかはわからない。

今日も頭は痛い。

光は気持ち悪いし、文字も読みたくない。

ただ一つ言えるのは、

私は今日まで「仕方がない」と思っていたものに対して、初めて違う選択をしてみた。

自分を、もう少し無理しなくてもいいところへ連れていけるかもしれない。

その可能性に、今回はお金を使ってみることにした。

さて。

私はこれからどうなるんだろう。

後日のログに、乞うご期待。

 

 

『ユウからの手紙』

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