「これから、どんなふうに暮らしたい?」
3児の親であり、30歳から自分らしい生き方を探求しているユウです。
そう聞かれたとき、仕事や住む場所のことは浮かんでも、その暮らしの中で自分がどんな気持ちでいたいかまで、考える時間は案外少ないですよね。
私が運営しているTrue Colors Lab(TCL)で、全3回のビジョンボード作成ワークショップを開催しました。大切にしたい言葉や風景を一枚に集めて、これからの暮らしの道しるべを作るワークです。
ワークショップ開催のきっかけは、TCLで作っているZINEでした。ZINEは、自分たちの言葉や作品を集めて作る小冊子です。TCLでは毎年12月頃の制作を楽しみにしていて、昨年に続き、今年も2冊目を作ることになりました。
その一冊に、メンバーそれぞれのビジョンボードを掲載したい。みんなが今、何を大切にして、どんなふうに生きていきたいと感じているのかを、一緒に形にしてみたい。そんな思いから、今回のワークショップを企画しました。
TCLは、自分の性別や生き方について感じていることを話せるオンラインコミュニティです。日々のやり取りやZoomでの会話に加えて、こうして一緒に作品を作る時間もあります。話すことと作ることの両方を通して、お互いのことや、自分自身のことを知っていける場にしたいと思っています。
第1回のテーマは「今の私を知る」。まず、今の自分が何に惹かれ、何に違和感を抱いているのかを見つめるところから始めました。
今回は、私自身がワークに書いたことを中心に、その入り口を振り返ります。
当日は、みんなの話を聞く中で、うまくいっている人を見るときのモヤモヤや、自分が安心できる場所のことにも、会話が広がりました。
楓の青い葉っぱを見ていると、何かを作りたくなる
事前ワークには、「最近、ちょっと心が動いた瞬間」を書く欄を作りました。
私が思い出したのは、ゴールデンウィークに夫の実家へ行ったときのことです。窓から楓の青い葉っぱが見えて、その景色を眺めていると、創作意欲が湧いてきました。
緑の見える場所が好きだという感覚は、以前からありました。でも、そこで感じていたのは、景色の美しさだけではありません。
私にとって、窓の向こうに自然があることは、何かを作りたいという気持ちにつながっている。暮らす場所と、創作する自分が、同じ景色の中にいるんだと気づきました。
書き出していくと、上高地にある透明な川や新緑、由布岳の草原、青い楓の見える風景など、緑や水のある景色がいくつも思い浮かびます。
そして、その景色のどこに惹かれるのかを考えると、これからどんな環境で過ごしたいのかが見えてきました。
「好き」の中には、人との関わり方もあった
もう一つ書いたのが、物語の中に出てくるバディーへの惹かれ方でした。
私は、人と人がどうやって親密になり、絆を育てていくのかというストーリーに魅力を感じます。好きな作品を思い返すと、そうした関係が描かれているものがいくつもありました。
これからの暮らしを考えるとき、住む場所や仕事内容と一緒に、誰とどんな関係を育てたいのかも大切にしたい。自分と感覚を分かち合えて、信頼しながら何かを作れる仲間がいることも、私が描きたい未来の一部でした。
しんどさからも、大切にしたいものが見える
ワークには、最近しんどかったことや、無理をしていると感じた場面を書く問いもあります。
私の場合は、育児の呼び出しなどで仕事が中断され、自分のための仕事時間を確保しにくいことが出てきました。創作したい気持ちはあるのに、そこに集中できる時間が足りない。そのもどかしさがあります。
緑のある家で暮らしたいという希望と、自分の活動に集中できる環境を整えたいという希望。その両方が、私の中にあります。
好きな景色を集めるだけでなく、今の暮らしで引っかかっていることも書くと、未来に持っていきたいものが具体的になっていきました。
誰かの頑張りを見ると、苦しくなることもある
ワークショップを開催した時、メンバーさんの会話の中で印象に残ったのは、誰かが頑張っている姿や、物事をやり遂げた様子を見ると、かえって自分が苦しくなるという感覚でした。
ドキュメンタリーやSNSに映る姿を見て、自分と比べてしまう。これだけ頑張らないといけないのかと、遠い壁を感じる。そうした話から、憧れとしんどさが近くにあることが見えてきました。
その一方で、人の才能や表現に触れて、素直に心を動かされることもある。同じように誰かの姿を見ていても、自分の反応は一つではないんですね。
羨ましさについて話す中では、「挑戦できる選択肢」や「自分の活動を人に届けること」も、気になるキーワードとして出てきました。人と比べたときの気持ちをたどると、自分が何をやってみたいのかにも話がつながっていきます。
「安心できる場所」は、一人ひとり違っていた
これから増やしたい感覚としては、「自信」「満足感」「安心感」、そして「余裕」が出てきました。
そこから、どんな場所にいると安心できるのかという話になりました。みんなが静かに机に向かっている図書館の自習スペース。広々としていて、一人でゆっくり座れて、木の葉っぱを眺められるカフェ。
私にとっては窓から見える緑だったけれど、同じ「安心」でも、その景色はそれぞれ違っていました。人が同じ方向を向いて取り組んでいること、座席の配置、空間の広さ、植物があること。話を聞いていくと、安心を感じる情景がメンバーの数だけ浮かんできました。
一人の話を聞いて、ほかの人が気になることを尋ねる。そのやり取りから、気持ちが具体的な景色になっていくのがとても楽しかったです。ビジョンボードに入れたいものも、こんな日常の中にあるんだと感じました。
今の私が、これから増やしたい感覚
第1回のワークを経て、私のワークシートにはこんな言葉が出てきました。
「自然が身近にあること」「心の中に癒しの景色を作ること」「都会でも得られる癒しに注目すること」。そして、「愛と感謝の気持ちを忘れないこと」「魂からワクワクすること」。
自然のある場所へ移りたい気持ちと、今いる場所でも癒しを受け取りたい気持ちが、両方入っています。
理想の場所が見つかるまでにも、子どもと出かけた先の日陰の涼しさや、身近な緑に気づく瞬間がある。そうした感覚も、私のこれからにつながっています。
まだ住む場所も、働き方も、すべて決まったわけではありません。それでも、どんな景色の中で、どんな気持ちで過ごしたいのかを、自分の言葉で持てるようになってきました。
一緒に取り組む予定が、自分と向き合うきっかけになる
自分と向き合うことに苦手意識があっても、ワークショップや事前ワークがあることで、まずやってみるきっかけになる。取り組んでみると、すらすら書けるところと、手が止まるところがある。その両方を通して、自分のことを知る面白さが感じられたという振り返りがありました。
一緒に取り組む時間を作ることにも、意味があるんだと感じます。それぞれが持ち寄った言葉を、次の会話や作品につなげていく。今回のZINEにも、そんな過程で見つけた今の自分を残していきたいと思っています。
第2回では、この言葉を手がかりに、1年後に見ていたい風景をもう少し具体的に描いていきます。
あなたが最近、思わず目を留めた景色や、いいなと感じた時間は、どんなものでしたか。
自分が大切にしたいことを、誰かと話しながら考えてみたい。そんな方へ、TCLでは日々の気持ちを話したり、一緒に作品を作ったりする時間を開いています。答えがまだまとまっていなくても、今感じていることから話せる場所です。

