詩:眼底出血
ある日
私の右の目玉の中に
とても小さな黒やグレーの無数の点が現れた
手前や奥に点が散らばる様子は
ネガの星空を見ているようだ
あるいは
プレパラートの上にある
まるい細胞を見ているようだ
ある日
点の集まりが黒いモヤになった
液体の中にすみを垂らして
円形に広がっているようだ
よくよく見れば
そのモヤは
黒い点の集合体だった
それからずっと
大きな根を張る木から
黒い天の川を眺めている
飛蚊症だと思っていたもの
2026年6月4日。
朝起きて、朝日を浴びたときのことでした。
右目の中に、黒やグレーの小さな点が無数に散らばっているように見えました。
最初は、飛蚊症かなと思いました。
調べてみると、飛蚊症の説明画像に「黒い点が散らばって見える」といったものがありました。
だから、最初は「これが飛蚊症なのかな」と思いました。
でも、少し違和感もありました。
点が、目玉全体に広がっているように見えたからです。
よくある飛蚊症のイメージよりも、ずっと広範囲に、右目の中全体に、黒い点がばらまかれているような感じでした。
その時点では、半信半疑でした。
「飛蚊症なのかもしれない」
「でも、何か少し違うのかもしれない」
そんな気持ちでした。
そして翌日、眼科を受診しました。
一度目の眼科受診では「異常なし」だった
6月5日、眼科で眼底検査を受けました。
けれど、この時点では特に異常は見つかりませんでした。
「様子見で、次は1か月後に来てください」
そう言われました。
そのときは、いったん安心したような気持ちもありました。
ただ、右目の視界にある黒い点々は消えたわけではありません。
もしこれが飛蚊症なら、この見え方がずっと続くのだろうか。
そう思うと、とても不安でした。
右目の中にずっと黒い点が散らばっている。
視界の一部ではなく、全体に何かが浮いている。
この状態でこれから過ごしていくのかもしれないと思うと、かなり憂鬱でした。
黒い点が、黒いモヤになっていった
その後、右目の見え方は少しずつ変わっていきました。
最初は、無数の小さな黒い点でした。
それがだんだん、黒いモヤのようなものになっていきました。
輪っか状のようにも見える黒い影が、視界の邪魔なところにずっととどまっている。
目を動かしても、ゆらゆらとそこにある。
見たいものの上に重なってくる。
さらに日が経つにつれて、視界はどんどん悪くなっていきました。
右目の前に、薄茶色い膜のようなものがかかっているような感じになりました。
濁ったフィルター越しに世界を見ているような感覚です。
最初の受診では異常なしと言われていたけれど、これは何かが進行しているのではないか。
そう思いました。
再受診で分かった「眼底出血」
本来なら、次の受診は1か月後の予定でした。
でも、私の感覚では明らかにおかしかった。
視界が悪くなっている。
右目の見え方が、最初とは違う。
このまま1か月待っていいのだろうか。
そう思い、6月11日頃にもう一度眼科を受診しました。
診察のとき、先生は最初「検査しても多分変わらないと思うよ」という雰囲気でした。
けれど、実際に検査をしてみると、目の中で出血していることが確認されました。
診断は、眼底出血でした。
飛蚊症だと思っていたものは、眼底出血による見え方だったのです。
眼底出血と分かって、少しホッとした理由
「眼底出血」と聞いたとき、もちろん怖さはありました。
目から出血している。
網膜に影響はないのか。
私は近視もあるので、そのあたりの心配も残っています。
でも一方で、少しホッとした部分もありました。
もしこれが飛蚊症で、この黒いモヤモヤした視界がずっと続くのだとしたら。
右目がほとんど見えづらいような状態で、これから過ごしていかなければいけないのだとしたら。
そう思っていたので、出血によるものだと分かり、目の中の血液が代謝されればまた視界がクリアになる可能性があると聞いて、そこには少し安心しました。
「この視界が一生続くかもしれない」という不安からは、少しだけ解放されました。
「激しい運動は避けてください」と言われたけれど
眼底出血が分かったあと、先生からは「激しい運動は避けてください」と言われました。
日常的にやっている家事や育児も、できれば夫に任せた方がいい。
そう言われました。
でも、現実はなかなかそうはいきません。
夫は出張で平日はほとんど家にいないし、
実家家族に家事や育児を全部誰かに任せることは難しい。
洗濯物も、食事も、送り迎えも、体調不良の対応も、日々の生活はそのまま続いていきます。
同じ週に、子どもたちの体調不良も重なった
しかもこの週は、子どもたちの体調不良も重なっていました。
まず双子が発熱しました。
その日のうちに熱は下がったものの、保育園では「熱があった翌日は1日様子を見てください」と言われます。
そのため、翌日は登園できませんでした。
私は仕事をしながら、子どもたちを見ることになりました。
そして木曜日。
私が眼科を受診したあと、夕方には上の子の体調不良もありました。
保育園から、上の子が調子悪そうで、ずっとめそめそしていると連絡があり、連れて帰ってきました。
翌日は1日休み。
その後、上の子は回復しました。
でも、この1週間はほとんど、子どもを見ながら仕事をしていたような感覚でした。
双子の発熱。
上の子の体調不良。
仕事。
眼科受診。
そして、自分の右目の視界不良。
身体的にも精神的にも、かなり疲れていました。
週末になっても、疲れが全然取れていません。
視界が悪いことは、思った以上にストレスだった
右目の視界が悪いというのは、思っていた以上にストレスでした。
スマホはまだ何とか見られます。
でも、パソコン作業がかなりしんどい。
私はパソコンで仕事をすることが多いので、画面が見づらいことはそのまま仕事のしづらさにつながります。
右目が見えにくい分、左目にかなり負担をかけているような感じもありました。
すると今度は、
「左目まで同じようなことになったらどうしよう」
という不安が出てきます。
さらに、子どもの送り迎えのときも不安でした。
視界が悪いことで、転んだりしないだろうか。
子どもを抱っこして転んだら…。
ただ見えづらいだけではなく、日常のあらゆる場面に少しずつ不安が混ざってくる。
それが、じわじわと心を削っていきました。
自分の違和感を信じてよかった
今回、最初の受診では「異常なし」と言われました。
次は1か月後でいいと言われていました。
でも、自分の症状としては、明らかにおかしいと感じていました。
視界が悪くなっている。
黒い点だけだったものが、黒いモヤになっている。
薄茶色い膜がかかったように見える。
これは、最初のときとは違う。
そう思って予定より早く再受診しました。
結果として、眼底出血が見つかりました。
だから今回、私は「自分の感覚を信じていいのかもしれない」と思いました。
もちろん、自己判断だけで決めつけるのは危険です。
でも、自分の体の変化を感じているのは自分です。
「前と違う」
「明らかに悪くなっている」
「何かおかしい」
そう感じたとき、その感覚はちゃんと大事にしていいのだと思いました。
子育て中でも、自分の体を後回しにしないために
子どもがいると、自分の体調はどうしても後回しになりがちです。
子どもが熱を出せば、まず子どもの受診。
保育園から連絡が来れば、お迎え。
仕事の予定があっても、まず子どもの対応が優先になります。
それは当然のことでもあります。
でも、今回思いました。
自分の体を診てもらうことも、子どもの世話と同じくらい大事なのだと。
親の体も、生活を支えている大事なものです。
私が倒れたら、生活はもっと大変になる。
私の目が見えづらくなれば、仕事も育児も、日常の移動も、全部に影響が出る。
分かってはいるけれど、現実にはなかなか自分をいたわれません。
今回も、正直なところ、十分に休めているわけではありません。
「家事や育児は夫に任せて」と言われても、それが簡単にできる生活ではありません。
それでも。
自分の体の違和感をなかったことにしない。
おかしいと思ったら、予定より早くても受診する。
子どもの体調を見るように、自分の体の変化も見てあげる。
それくらいは、これから少しずつでもやっていきたいと思いました。

