ノンバイナリーとは?性別にとらわれない生き方と特徴をやさしく解説

3児の親でありノンバイナリー(Xジェンダー)。
30歳から「自分らしい生き方」を探求中のユウです。

30歳を過ぎてから
「本当に自分らしい生き方って何だろう?」と問い直すようになり、
その答えのひとつとして出会ったのが
「ノンバイナリー」という言葉でした。

この記事では、
「ノンバイナリーとは何か」を知りたい人のために、
できるだけわかりやすく、
そして私自身の経験も交えながら丁寧にお伝えしていきます。

自分の性別にしっくりこない

「男」「女」のどちらにも違和感がある

ノンバイナリーという言葉を見かけて気になっている

そんな思いを抱えているかたも、
ぜひ読んでみてください。

目次

ノンバイナリーの定義とは

ノンバイナリー(non-binary)とは、
性自認が「男性」「女性」という二つの枠に
あてはまらない人のことを指します。

性別を二者択一で捉える
「ジェンダー・バイナリー(二元論)」に対し、
それ以外のあり方を含む広い概念です。

ノンバイナリーという言葉には、
「中性」や「無性」などのアイデンティティを持つ人もいれば、
そもそも分類を拒む人もいます。

つまり、性自認の“自由さ”や“曖昧さ”を
そのまま尊重できる言葉です。

引用元:https://transequality.org/issues/resources/understanding-nonbinary-people-how-to-be-respectful-and-supportive

私がノンバイナリーに気づいたきっかけ

「女性」として生まれ、育ってきたけれど、
ずっと自分の性別に違和感がありました。

制服のスカートが嫌いだったこと、
「女の子なんだから〇〇」と言われるとモヤっとすること。

かといって、男の子になりたいのかと言われると
そうではない気がすること。

でも、当時の私には、
そういう違和感を説明できる言葉がありませんでした。

そんな私が自分のセクシャリティに気がついたきっかけは、
双子の子どもの授乳を終えた時でした。

「もう、女性の体が必要なくなった。」
「それなら、女性として生きていくのをやめたい。」

そんな感覚がありました。

そこで、自分のセクシャリティに初めて興味が湧き、
調べるうちに「ノンバイナリー」という名前があることを
知ったのです。

その時は、初めて自分という人間を認識したような、
ほっとした感覚があったのを今でも覚えています。

ノンバイナリーの多様性

ノンバイナリーは一つの固定された性自認ではなく、
多様なアイデンティティを含む広義の概念です。

たとえば、
自分に性別という感覚が
そもそも存在しないと感じる人は
アジェンダー(Agender)と呼ばれ、
性別の概念を持たないというあり方を示しています。

また、男性と女性の両方、ま
たはそれ以外の性を同時に、
あるいは交互に感じる人は
ビジェンダー(Bigender)とされます。

時間や状況によって性自認が変化する人は
ジェンダーフルイド(Genderfluid)。

特定の性別に対して
「なんとなく近い」と感じているけれど、
完全にその性別とは言い切れない人は、
デミジェンダー(Demigender)と呼ばれることがあります。

これらのアイデンティティは、
個人の内面的な感覚や経験に根ざしており、
外見やふるまいから一概に判断することはできません。

また、ノンバイナリーの人々は、
自身の性自認を尊重されるために、
they/themなどのジェンダーニュートラルな
代名詞を使用する場合もあります。

引用元:National Center for Transgender Equality

ノンバイナリーの認知度と人口

アメリカでは LGBTQ+成人のうち約11%、
約120万人がノンバイナリーであるとされています。(UCLA)

世界27カ国平均では、
全体の約1%がノンバイナリーやトランス、
流動的な性自認を持つとされています。(Ipsos)

引用元:https://transequality.org/issues/resources/understanding-nonbinary-people-how-to-be-respectful-and-supportive
    Ipsos Global Advisor | LGBT+ Pride 2023

ノンバイナリーにおける代名詞の多様性

ノンバイナリーの人々は、
自身の性自認を他者に伝える際に、
従来の「he」「she」ではない
中性の代名詞を使用することがあります。

英語圏では最も広く使われているのが
「they/them」で、単数形としても認知され、
Merriam-Webster辞書は2019年に正式にこの用法を認めました。

ノンバイナリーを示すTheyは単数系ではありますが、
“They are my friend.”のように
be動詞は複数形で使うようですね。

その他にも、
ノンバイナリー当事者が使っている代名詞には
「xe/xem/xyr」や「ze/hir/hirs」があります。

国によっても独自の代名詞が発展しています。

たとえばスウェーデンでは
「hen」という代名詞が2015年に公式辞書に追加され、
男女のいずれでもない中性の人を指す言葉として使われています。

フィンランド語ではもともと性別を示さない
「hän」という代名詞が使われており、
言語自体が中性です。

フランス語では「il」と「elle」を融合させた
「iel」が若年層を中心に使われ、
Petit Robert辞書に追加されたことで議論を呼びました。

日本語の場合、
英語圏のようなノンバイナリーにフレンドリーな代名詞は
まだありません。

日本語では、「わたし」「ボク」「オレ」などの一人称や、
「さん」「くん」「ちゃん」などの敬称が
性別を連想させるものが多いですよね。

ノンバイナリーである私としては、
この性別ありきの一人称や敬称が、
生活する上で悩みの種になることもあります。

引用元:https://pronouns.org/what-and-why
    https://time.com/5679132/merriam-webster-gender-neutral-dictionary/
    https://www.lingoda.com/blog/en/french-gender-neutral-pronouns/
    https://www.wired.com/story/actually-gender-neutral-pronouns-can-change-a-culture/

世界と日本における認知と制度の変化

近年、ノンバイナリーという存在に対する社会の理解は、
少しずつ確実に進んできています。

特に英語圏を中心とした国々では、
法的・制度的な変化が
目に見えるかたちで現れ始めました。

たとえばアメリカでは、
連邦政府が2022年に性別「X」の表記を
パスポートに導入したことで、
男性(M)・女性(F)以外の性別を
公式に認める方針が明確になりました。

カナダ、ドイツ、ニュージーランドなどでも、
出生証明書やパスポートなどの公的文書に
「第三の性(Xなど)」を記載できる制度が
整ってきています。

また、英語圏最大の辞書の一つである
Merriam-Websterは2019年、
「they」を単数形の代名詞として正式に認定しました。

これは、
ジェンダーニュートラルな言葉づかいの
浸透を象徴する出来事のひとつです。

日本ではこうした制度対応はまだ限られており、
戸籍やパスポートなどで
「男性/女性以外の性別を選べる」仕組みは存在しませんが、
ジェンダーレスな制服を導入する学校や、
性別記載を求めない履歴書を採用する企業など、
民間レベルでの取り組みが少しずつ広がっています。

引用元: https://transequality.org/
     https://www.hrc.org/resources/x-gender-marker
https://www.merriam-webster.com/words-at-play/word-of-the-year-2019-they

Xジェンダーとの違いについて

日本では、
ノンバイナリーに近い言葉として
「Xジェンダー」という用語があります。

どちらも「男性でも女性でもない」という
意味を含みますが、以下のような違いがあります。

観点ノンバイナリーXジェンダー
起源英語圏(グローバル)日本発祥の用語
定義性自認や表現の二元論から自由であること男性・女性以外の性自認
分類あえて分類しない立場も多い「中性・両性・無性・不定性」などに分類されることがある

Xジェンダーは主に
4つの性自認に分類されています。

一方、ノンバイナリーの中には、
「分類」そのものを拒むことで
自分らしさを保っている人もいます。

その意味では、
ノンバイナリーの方が包括的な概念
という印象があります。

ノンバイナリーは、性自認だけでなく、
服装や話し方などの性表現を含めた
「あり方」全体として自分を定義する人が多いのが特徴です。

一方で、Xジェンダーは主に
性自認に焦点を当てた言葉であり、
「自分の性別をどう感じているか」が中心となります。

Xジェンダーに関するより詳しい内容は、
こちらの記事をご覧ください。

ノンバイナリーと関連する他の言葉たち

ノンバイナリーという言葉を知ったとき、
「他にも似たような言葉があるけど、
何がどう違うの?」と感じたことはありませんか?

ここでは、
ノンバイナリーと並んで使われることの多い
関連用語を簡単に紹介します。

クィア(Queer)
 もともとは侮蔑語として使われていた言葉ですが、現在では「性的指向や性自認において、既存の枠に収まらないあり方全般」を示す肯定的な言葉として使われています。
ノンバイナリーもクィアに含まれることがあります。

ジェンダーレス(Genderless)
 性別にとらわれない考え方や表現スタイルを指します。ファッションやライフスタイルの文脈でもよく使われ、性自認というよりは「見せ方」のニュアンスが強い言葉です。

クエスチョニング(Questioning)
 自分の性自認や性的指向についてまだ探っている段階のこと。
「何者かはまだわからない、でも探している」という状態にいる人を指します。

ノンバイナリーという言葉に出会えたこと

「私は何者か」という問いに、
「ノンバイナリー」という言葉があることで、
自分自身の感じ方やあり方に名前をつけることができた。
それは私にとって大きな救いでした。

自分が何者なのか、
社会の期待する性別にどう向き合えばいいのか
もし悩んでいる方がいるなら、
自分のセクシャリティを知ることが
そのヒントになるかもしれません。

もし答えが出なくても、
あなたが抱えているモヤモヤや違和感は
間違いではありません。

自分の心の中にある感覚を
大切にしてあげてくださいl。

あなたは、あなたのままでいい。

ここまで読んでいただき、
ありがとうございました。

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【あなたは、あなたのままでいい】
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「あなたは、あなたのままでいい」 ユウからの手紙




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