こんにちは。
3児の親でありXジェンダー、30歳から「自分らしい生き方」を探求中のユウです。
最近、ある友人からこんな相談を受けました。
「これまで全然恋愛に興味がなかったんだけど、ユウに勧められてセクシャリティ診断をしてみたら、“アセクシャル”とか“アロマンティック”って出て…なんだそれ?ってなった。」
そして、その友人はそれぞれの解説文を読んだ上で、
「恋愛できないとか、終わった笑」
と言っていたのです。
私と同世代の友人たちの中には結婚する人や子どもが生まれる人もいて、 そんな中で親からプレッシャーをかけられる人もいるでしょう。
その友人もまた、そういう類のプレッシャーを感じているようでした。
しかし、私はその言葉を聞いて、いても立ってもいられなくなりました。 友人に、「あなたは、そのままで素晴らしいんだ」と伝えなければいけないと思ったのです。
「全然終わってなんかいないよ」って。 むしろ、自分のことに気づいた今がはじまりなんじゃないかな、って 伝えないといけない。
恋愛しない=欠点、なんてことはありません。 それはあなたの素晴らしい個性です。
この記事では、「アセクシャルとは何か?」を解説しながら、スペクトラムの種類や、よく似た言葉「ノンセクシャル」との違いも紹介します。
アセクシャルとは?
アセクシャル(Asexual)とは、他者に対して性的に惹かれない指向のこと。 英語では”Asexual”と表記され、略して”ACE(エース)”と呼ばれることもあります。
アセクシャルの特徴例
- 誰かを見て「セクシー」と思う感覚がわからない
- 性的な関係に興味がわかない
- 性の話になると、どこか自分だけ置いていかれているような気がする
ただし、「アセクシャル=性欲がない」というわけではありません。 性欲(性的欲求)と、誰かに性的に惹かれるかどうか(性的指向)は別のものとして扱われます。
出典:The Asexual Visibility and Education Network (AVEN) – https://www.asexuality.org/
アセクシャル・スペクトラムとは?
アセクシャルには多様なグラデーション(幅)があるとされ、それらをまとめて**アセクシャル・スペクトラム(ACEスペクトラム)**と呼びます。
グレイセクシュアル(Graysexual)
- 性的に惹かれることがごく稀にある
- 特定の条件下でのみ惹かれることがある
“セクシャル”でも”アセクシャル”でもない“グレー”な感覚を持つ人を指します。
デミセクシュアル(Demisexual)
- 誰かと深い感情的つながりができた後にのみ、性的に惹かれる
- 第一印象や外見には惹かれにくい
これらの人々も、「性的に惹かれづらい」という意味でアセクシャルの傾向を含みます。
クワセクシャル(Quoisexual)
クワセクシャル(またはクワイセクシャル)は、自分が性的に誰かに惹かれているかどうか、その感覚自体が曖昧でよくわからないと感じる人が使う言葉です。
「性的に惹かれる/惹かれない」という感覚そのものがピンとこない、もしくはその区分に意味を感じない人もいます。
このようなクワセクシャルの在り方も、アセクシャル・スペクトラムの一部とされることがあります。
クワセクシャルについては、こちらの記事で詳しく書いています。

ノンセクシャルとの違い
日本では”ノンセクシャル”という言葉もよく使われますが、意味や定義には違いがあります。
比較項目 | アセクシャル | ノンセクシャル |
---|---|---|
定義 | 他者に性的に惹かれない指向 | 性的な接触・行為を望まないスタンス |
恋愛感情 | ある人もいればない人もいる | 多くは恋愛感情がある |
性的欲求 | ある場合もある | あるが行為を望まないことが多い |
ノンセクシャルは“性行為をしない生活スタイル”を意味することもあり、よりライフスタイルや価値観寄りに使われる傾向があります。
アロマンティックとの違い
アセクシャルが「性的に惹かれない」のに対し、**アロマンティック(Aromantic)**は「恋愛的に惹かれない」指向です。
この2つは混同されやすいですが、異なるものです。
感情の種類 | アセクシャル | アロマンティック |
性的魅力 | 感じない | 感じる場合もある |
恋愛感情 | ある場合もある | 感じない |
よくある疑問に答えます
アセクシャルでも恋愛や結婚はできますか?
はい、可能です。アセクシャルは”性的に惹かれない”だけで、恋愛感情や愛情を持つ人もいます。
恋愛やパートナーシップの形は人それぞれ。
QPR(クィアプラトニック・リレーションシップ)など、恋愛に縛られない深い関係性を築く人もいます。
アセクシャルは病気やトラウマのせい?
いいえ。アセクシャルは性的指向の一種です。
医療的な要因(ホルモン異常など)とは区別されます。
出典:Bogaert, A. F. (2004). Asexuality: prevalence and associated factors in a national probability sample. Journal of Sex Research, 41(3), 279–287.
セックス嫌悪症(sex-repulsed)との違いは?
セックス嫌悪症は、性行為に対して嫌悪感や恐怖を抱く状態を指します。
アセクシャルでも性に嫌悪を抱く人もいれば、中立・積極的な人もいます。
私自身の体験談
私も長年、誰かの恋愛話を楽しく聞きながら、 「みんなが話してるみたいに、恋をして盲目になったことはないな…。」と思っていました。
特に私は、誰かと体の関係を持ちたいと感じることが、全くありませんでした。
でもそれを誰かに相談すると、 「経験がないだけだよ」と言われることがほとんど。
「経験が足りないだけなのかな…」
「変な性癖だったりして…」
とひとりでモヤモヤしていました。
結局結婚して子どもがいる現在でもその感覚は変わらないので、私はそういう性質なんだなという結論に至っています。
アセクシャルかどうかを無料で診断できるツールもあり、そこでもアセクシュアルの傾向がありそうでした。

今でこそ、そんなふうに自分を受け入れていますが、学生時代は本当に色々な場面で、恋愛に悩まされてきました。
そんな日々をKindleで半分本当、半分フィクションのエッセイとしてもまとめています。
終わってなんかいない
「恋愛できないって、終わってるよね」 「誰にもドキドキしない私は欠陥品…?」
そんなふうに自分を責めてしまう人がいたら、私はこう伝えたい。
あなたは、何もおかしくなんかない。 そして、“終わって”なんか、いない。
恋愛やセックスをしなくても、心が満たされる関係や人生はちゃんとあります。 アセクシャルやアロマンティックという言葉は、自分を縛るラベルではなく、自分を知る“ヒント”です。
世間一般の”普通”にはなれなくても、あなただけの人生の歩み方がきっとあるはず。 私はそれを全力で応援しています^^