3児の親でありXジェンダー(ノンバイナリー)。
30歳から「自分らしい生き方」を探求中のユウです。
こんにちは、ユウです。 3児の親であり、Xジェンダー(ノンバイナリー)として「自分らしい生き方」を30歳から探求中です。
私は幼い頃から、“女の子”として育てられてきました。 けれど成長するにつれ、その「あたりまえの性別」に、うまく言葉にできないモヤモヤを感じるように。
その違和感に「名前」がついたのは、30歳を過ぎてから。 「Xジェンダー」という言葉に出会ったことで、初めて自分の感覚を言葉にできるようになりました。
この記事では、
- Xジェンダーの意味と種類
- トランスジェンダーとの違い
- 当事者である私のリアルな体験
などを、わかりやすくお伝えします。
Xジェンダーとは?意味と定義
Xジェンダーとは、自分の性別を「男性」「女性」といった既存の枠に当てはめない、または当てはまらないと感じる人々の性自認のひとつです。
生まれつきの身体的特徴や性器によって割り当てられた性別(出生時の性別)ではなく、自分が「自分をどう感じるか」に基づいています。
国際的には「non-binary(ノンバイナリー)」や「genderqueer(ジェンダークィア)」などが近い表現として使われており、日本では独自に「Xジェンダー」という言葉が浸透しています。
Xという文字は、「不確定」「未定」「中間」といった意味を含み、あえて分類しきれない性のあり方を象徴しているのです。

Xジェンダーの4つのタイプ

Xジェンダーとひとことで言っても、感じ方は本当に人それぞれです。その中でも、共通する傾向としてよく挙げられるのが、以下の4タイプです。
1. 中性(ちゅうせい)
「男性でも女性でもない」「どちらでもあるようで、どちらでもない」そんな中間的な感覚を持つ人。外見やふるまいも、中性的なスタイルを好む人が多いですが、それも人それぞれです。
2. 両性(りょうせい)
男性性と女性性の両方を、自分の内面や表現の中に持っていると感じる人。日によって、どちらの性の要素が強くなると感じることもあります。
3. 無性(むせい)
「そもそも性別という考え方自体にピンとこない」「自分の中に性を感じない」という感覚を持つ人。性別という枠そのものに、意味を感じない場合もあります。
4. 不定性(ふていせい)
日や状況によって、自分の性自認が変化する人。一定ではなく、流動的なあり方を持つ人で、「ジェンダーフルイド」とも呼ばれます。

Xジェンダーの語源と日本での歴史
「Xジェンダー」という言葉は、1990年代後半に日本の関西圏で生まれたとされています。ジェンダーやセクシュアリティの多様性について議論される場で、既存の「男性」「女性」以外の性を表現する言葉として登場しました。
2000年には、LGBTQ+の当事者グループ「G-Front Kansai」が発行する雑誌『Poco a poco』でも特集され、次第に認知されていきました。
“X”という文字には、「交差する」「未知数」「分類されない」といった意味が込められており、男性・女性のどちらにも分類できない性のあり方を象徴しています。
つまり、「自分自身の性を、誰かが用意した枠で説明しなくていい」——その自由さを表す言葉が、Xジェンダーなのです。
参考:An Introduction to X-Jendā: Examining a New Gender Identity in Japan
データで見るXジェンダーの割合
では、実際にどのくらいの人がXジェンダーに該当するのでしょうか?
電通が実施した「LGBTQ+に関する意識調査(2023)」では、以下のような結果が報告されています。
- ノンバイナリー(Xジェンダー含む):1.38%
- トランスジェンダー:1.15%
日本の人口約1億2,000万人に当てはめると、約138万人がXジェンダーに該当する計算になります。
つまり、100人に1〜2人は「男性でも女性でもない」と感じながら生きているということです。
トランスジェンダーとの違いは?
「Xジェンダーってトランスジェンダーの一種なの?」と疑問に思う方もいるかもしれません。
トランスジェンダーとは、生まれたときに割り当てられた性別と、自分が認識している性別(性自認)が異なる人のことを指します。
たとえば:
- FtM(Female to Male)=女性として生まれたが、自分は男性と認識している人
- MtF(Male to Female)=男性として生まれたが、自分は女性と認識している人
この場合、自認する性が「男性」または「女性」という二元的な枠にあるため、手術やホルモン治療などによる身体的な移行を希望する人も多くいます。
一方、Xジェンダーはそのどちらでもありません。
「男性」「女性」というどちらかに決めたいのではなく、「そのどちらにも当てはまらない」感覚を大切にしているのです。
広義のトランスジェンダーに含まれるケースも
文脈によっては、Xジェンダーも「出生時の性別と現在の性自認が異なる人」として、トランスジェンダーの一部とされることもあります。
この場合、
- FtX(Female to Xgender)
- MtX(Male to Xgender) という呼び方をされることがあります。
しかし重要なのは、「移行したい」というよりも、「決めつけられた性別の枠を手放したい」と感じている点です。
私が「中性」だと思ったきっかけ

私は生物学的には女性として生まれました。
けれど、小学生の頃から、「中性なんじゃないか」となんとなく思っていました。
スカートが苦手で、ピンクやフリフリの服も苦手。
でも「男の子になりたい」と思ったことはなかったし、男の子が着ているような服が着たいとも思わなかった。
中高では女子の制服を着ることが当たり前で、女子としてのふるまいを求められる場面が増えるたび、なんとも言えない違和感が膨らんでいきました。
「私=女性」と言い切ることに、違和感がある。
でも「私=男性」とも思えない。
そんな状態がずっと続いていたのです。
一番大きな転機は、出産と育児です。
母乳をあげる必要がなくなった瞬間、「女性として生きるのをやめよう」と思いました。
それは、「母乳をあげる=母親の仕事」と感じていた自分にとって、その役割が終わることで“女性である意味”がなくなったように思えたからです。
そんな時に出会ったのが、「Xジェンダー」という言葉でした。
男でも女でもない性があってもいい。
そう知ったとき、初めて自分という存在を正面から認識できたような気がしました。
ちなみに、最近では「中性」よりも「無性」に近い感覚があると感じる日もあります。
「性別を持っていないほうが、しっくりくるかも」
そんなふうに思う自分がいることも、素直に認められるようになってきました。
自分の性自認は、ひとつの固定された“答え”ではなく、経験や気づきとともに少しずつ変化していく“感覚”なのかもしれません。
そう思えるようになったのも、Xジェンダーという言葉に出会い、自分の内面に耳を傾ける勇気を持てたからだと思います。
Xジェンダーとして感じた困りごと・よかったこと
困ったこと
- 書類の「性別欄」でどちらかを選ばされるときのモヤモヤ
- 病院や公的機関などで「女性」として扱われる違和感
- 「どっちなの?」という無神経な質問にどう答えればいいかわからない
- 「母らしさ」「妻らしさ」など、ジェンダーに基づいた役割を期待されること
こちらの記事で、日常の中にある“Xジェンダーあるある”をまとめています。
よかったこと
- 自分のことを素直に表現できるようになった
- 同じような感覚を持つ仲間と出会えた
- 性のあり方について深く考え、発信する機会ができた
- 子どもに「多様性を教えられる親」になれたと感じる
「違うことは、悪いことじゃない」。 そう胸を張って言えるようになったのは、Xジェンダーという言葉に出会ってからです。
性自認は“気のせい”じゃない

「Xジェンダーって流行り?」「ファッション?」そんなふうに受け取る人もいます。
けれど、性自認とは誰かに決められるものではありません。
自分の内側から湧き上がる「これが自分だ」という感覚。 それが、あなたにとっての性自認です。
科学的にも、性自認は生まれつきの要素と、育ってきた文化・社会的な影響が複雑に絡み合って形成されると考えられています。
※参考:WHO – Gender and Health(性別と健康)
よくあるQ&A
Q. Xジェンダーとノンバイナリーの違いは?
A. Xジェンダーは日本独自の言葉で、ノンバイナリーは国際的な用語です。
どちらも「男性でも女性でもない」性自認を指しますが、使われる文脈や文化的背景によってニュアンスが異なることがあります。

Q. 戸籍でXジェンダーを選べますか?
A. 現在の日本では、戸籍上の性別は「男性」「女性」の2択のみです。 Xジェンダーやノンバイナリーといった性自認を正式に反映させることは、現行制度上できません。
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あなたは、あなたのままでいい
Xジェンダーとは、男性でも女性でもない、またはその両方・中間・流動的といった感覚を持つ性自認です。
分類 | 感覚の特徴 |
---|---|
中性 | 男性でも女性でもない中間的な感覚 |
無性 | 性別という概念を自覚しない・感じない |
不定性 | 状況や時期によって性自認が流動する |
両性 | 男性性と女性性の両方を併せ持つ感覚 |
Xジェンダーは、個人の内面に根ざした自然な感覚。
誰かに認められなくてもいいし、説明ができなくても大丈夫。
「これが私らしさなんだ!」と思える感覚を、大切にしてほしいと思います。
この記事が、あなた自身の「気づき」の一歩になりますように。
あなたは、あなたのままでいい。