3児の親でありXジェンダー(ノンバイナリー)。
30歳から「自分らしい生き方」を探求中のユウです。
私は小さいころ、“女の子”として育てられてきました。
しかし、中学生、高校生と成長する中で、
その”あたりまえ”の性別に
違和感を覚えるようになりました。
幼いころから抱えていた、
うまく言葉にできない“モヤモヤ”。
それを「Xジェンダー」という言葉で、
初めて説明できたのは30歳になってからでした。
この記事では、Xジェンダーの定義や種類、
トランスジェンダーとの違いや最新の統計データ、
そして実際に私が「中性」という性自認に気づくまでのリアルな体験も交えて、
お話ししていきたいと思います。
Xジェンダーとは?意味と定義から解説
性自認とXジェンダーの関係
Xジェンダーとは、
自分の性別を「男性」「女性」といった既存の枠に当てはめない、
または当てはまらないと感じる人々の性自認のひとつです。
国際的には「non-binary(ノンバイナリー)」や
「genderqueer(ジェンダークィア)」という言葉でも
表現されることがあります。
Xジェンダーの主な種類と特徴
Xジェンダーの中にもさまざまな“感じ方”があります。
ここでは、代表的な4タイプを紹介します。
1. 中性(ちゅうせい)
男性でも女性でもない、
中間のような感覚を持つ人。
2. 両性(りょうせい)
男性性と女性性の両方を
自分の中に感じる人。
3. 無性(むせい)
性別という概念を持たない、
あるいは性を感じない人。
4. 不定性(ふていせい)
時期や状況によって、
性自認が変化する人。
性流動性(gender fluid)とも呼ばれます。
Xジェンダーはどのくらいいるの?
電通LGBTQ+調査(2023)によると
ノンバイナリー(Xジェンダー含む):1.38%
トランスジェンダー:1.15%
日本の人口1億2,000万人で換算すると、
およそ138万人がノンバイナリーに該当する計算です。
つまり、100人に1〜2人が
「男性でも女性でもない」と感じながら生きているのです。
参考:https://www.outjapan.co.jp/pride_japan/news/2023/10/17.html
また、世界30か国を対象としたイプソスの国際調査では、
ノンバイナリーやジェンダーフルイドと自認する人は
それぞれ1%程度存在するとされています。
Xジェンダーは少数派かもしれませんが、
確実に存在しているんですね。
トランスジェンダーとXジェンダーの違いは?
トランスジェンダーとは?
トランスジェンダーとは、
出生時に割り当てられた性別と、
自身が認識する性別(性自認)が異なる人々を指します。
トランスジェンダーには、
例えば次のような呼び方があります。
FtM(Female to Male)
生まれた時に女性と割り当てられたけれど、
性自認が男性である人。
MtF(Male to Female)
生まれた時に男性と割り当てられたけれど、
性自認が女性である人。
この場合、多くの人が「男性/女性」という
二元的な性のどちらかに自認を持っています。
そのため、性別適合手術やホルモン治療など、
身体的な移行を希望する場合もあります。
Xジェンダーとは?
一方、Xジェンダーとは「男性」「女性」という
二元的な枠に収まらない、
または収まることに違和感を覚える
性自認を持つ人々を指します。
なお、Xジェンダーは
「トランスジェンダー」に含まれるかどうかについて、
説明の仕方に違いがあります。
狭い意味でのトランスジェンダー
FtM、MtFのみを指す場合では、
Xジェンダーは別枠とされることがあります。
広い意味でのトランスジェンダー
出生時に割り当てられた性別と
異なる性自認すべてを含む場合では、
Xジェンダーもトランスジェンダーの一部と考えられます。
このように、
トランスジェンダーの定義によって、
Xジェンダーがその中に含まれるかどうかが異なるのです。
Xジェンダーをトランスジェンダーの一部に含む場合には、
下記のような呼び方があります。
FtX(Female to Xgender)
生まれた時に女性と割り当てられたけれど、
男性にも女性にも当てはまらないと感じる人。
MtX(Male to Xgender)
生まれた時に男性と割り当てられたけれど、
男性でも女性でもない、
あるいはその中間だと感じる人。
FtXやMtXの人たちは、
自分の中に「男でも女でもない」
「そのどちらでもある」
「そのどちらでもない」という感覚を持っています。
重要なのは、
Xジェンダーは「男性か女性かを決めたい」わけではない、
という点です。
この違いが、
狭義のトランスジェンダーと
Xジェンダーの大きな違いかもしれません。
私が「中性」だと気づいた理由とその背景
私は生物学的には女性として生まれました。
けれど、小学生の頃から、
自分は「中性」なんじゃないかという認識がありました。
スカートが苦手で、フリフリした服やピンク色の可愛い服が苦手。
でも、男の子が来ているような服を着たいわけではないし、
「男の子になりたい」とも思わなかった。
中学生、高校生の時は女子の制服を指定され、
「女子」としてのふるまいを求められることが増えました。
一番大きな転機は、出産・育児でした。
母乳をあげる必要がなくなった時、
“女性として生きるのをやめよう”と思いました。
それは、自分にとって子どもに母乳を与えることが
”母親としての仕事である”という気持ちがあったからだと思います。
そして、それが終わるということは
私が女性として生きる意味が無くなったと感じたのです。
そんな中で出会ったのが、
「Xジェンダー」という言葉でした。
男でも女でもない性があってもいい。
それがわかったことで、
初めて自分という存在を正面から認識したような気持ちになりました。
私自身がXジェンダーとして感じる困ったこと/良いこと
困ったこと
・書類に「性別欄」があるたびに、どちらかを選ぶことへの違和感。
・「どっちなの?」と聞かれても、どっちでもない。
・妻らしさ、母親らしさを求められる時。
Xジェンダーの困ったあるあるについては、こちらの記事でも書いています。
良かったこと
・自分を偽らずに表現できるようになった。
・同じような悩みを持つ人とつながれた。
・子どもに「多様性を教えられる親」になれた気がする。
「気のせい」じゃない。“性自認”は自分だけの大切な感覚
「Xジェンダーってただの流行?」
「気のせいなんじゃない?」
「そういうファッション?」
という言葉を耳にすることもあります。
けれど、性自認とは
外から決められるものではありません。
自分の「心の声」に耳を傾けたとき、
そこに浮かび上がるものが性自認です。
科学的にも、
性自認は生まれつきの要素と
社会・文化的環境要因が複雑に絡み合って
形成されると考えられています※。
※出典:WHO – Gender and gender identity
ちょっと気になるQ&A
Q: Xジェンダーとノンバイナリーの違いは?
A: Xジェンダーは日本独自の言葉で、ノンバイナリーは国際的に使われる用語。どちらも「男性でも女性でもない性自認」を指しますが、ノンバイナリーは”性的な表現”にも焦点を当てた言葉です。
ノンバイナリーについては、こちらの記事で詳しく書いています↓
Q: Xジェンダーは戸籍の性別を変更できますか?
A: 現在の日本の法律では、Xジェンダーのような非二元的な性別を戸籍に反映させることはできません。選べるのは「男性」か「女性」のみです。
まとめ
Xジェンダーとは、
自分の性別を「男性」や「女性」と限定せず、
どちらにも当てはまらない、
あるいはその両方・中間・変動する感覚を持つ
性自認のことを指します。
代表的な分類は以下の通りです。
分類 | 説明 |
---|---|
中性 | 男性でも女性でもない中間的な感覚 |
無性 | 性別という概念を自覚しない・感じない |
不定性 | 状況や時期によって性自認が流動する |
両性 | 男性性と女性性の両方を併せ持つ感覚 |
Xジェンダーは、
個人の内面に根ざした自然な感覚であり、
他人から押しつけられるものではありません。
「自分らしさ」を大切にしていい、
自分自身を肯定できる存在です。
もしこの記事が、
あなたのモヤモヤに少しでも寄り添えたなら嬉しいです。
あなたは、あなたのままでいい。