ジェンダー・モダリティとは?性自認と出生時割り当ての関係を表す新しい視点

3児の親であり、ノンバイナリー(Xジェンダー)として日々「自分らしさ」を発信しているユウです。

「ジェンダー・モダリティ」という言葉を知っていますか?
性自認やジェンダー表現はよく耳にしますが、この言葉はまだ日本ではあまり知られていません。

ジェンダー・モダリティ(gender modality)とは、「生まれたときに割り当てられた性別」と「自分がどう感じているか(性自認)」の関係を示す考え方です。

具体的には、

  • シスジェンダー・モダリティ:割り当てられた性別と性自認が一致している人
  • トランスジェンダー・モダリティ:割り当てられた性別と性自認が異なる人

という2つのあり方があります。

このどちらかに誰もが当てはまるため、ジェンダー・モダリティは特別な誰かだけでなく、すべての人に関わる新しい視点なのです。

この記事では、ジェンダー・モダリティの意味や使われ方、関連用語との違いをわかりやすく解説していきます。

目次

ジェンダー・モダリティの定義

ジェンダー・モダリティ(gender modality)とは、出生時に割り当てられた性別と現在の性自認との関係を示す概念です。

ここで使われる「モダリティ(modality)」という言葉には、「様式」「あり方」「関係の仕方」といった意味があります。

つまり「ジェンダー・モダリティ」とは、自分の性が“どういうあり方をしているか”を表すための言葉なのです。

この用語は2019年にカナダの研究者 フローレンス・アシュリー(Florence Ashley) によって提唱されました。2024年には Nature 誌でも紹介され、研究や調査の場で使える新しい枠組みとして評価されています(Nature)。

具体例を挙げると、

シスジェンダー・モダリティ
 生まれたとき「女の子」とされ、今も「女性」として生きている人。

トランスジェンダー・モダリティ
 生まれたとき「男の子」とされたが、自分は「女性」と感じている人。

さらに、この枠組みはシス/トランスという二分だけでなく、次のような人々も含めて整理することができます。

  • ノンバイナリーやXジェンダー(男女どちらにも当てはまらない人)
  • アジェンダー(agender)(性別を持たないと感じる人)
  • インターセックス(身体的特徴が二分法に当てはまらない人)
  • デトランス/リトランス(一度変化した後に再び異なる性を選んだ人)
  • Two-Spiritなど文化特有の性の枠組みを持つ人

これらはいずれも「出生時の割り当てと現在の性自認が一致していない」という点で、学術的にはトランスジェンダー・モダリティに含まれます。

ジェンダー・モダリティと似た言葉との違い

ジェンダー・モダリティは、性のあり方を説明するための新しい言葉ですが、他にもよく使われる関連用語があります。ここでは混同されやすい用語を整理してみましょう。

性自認(gender identity)

「自分をどう感じているか」を表す言葉です。
たとえば、「自分は女性だ」「自分はノンバイナリーだ」「性別では表せない」といった感覚が、性自認にあたります。

性自認は「自分の中の感覚」であり、モダリティが「割り当てとの関係性」を説明するのとは少し役割が違います。


ジェンダー・エクスプレッション(gender expression)

「外にあらわれる性の表現」を意味します。
服装、髪型、声、しぐさ、話し方など、周囲から見える「表現」のことです。

エクスプレッションは「見える部分」、モダリティは「出生時の割り当てと性自認の関係」に焦点を当てます。


セクシュアリティ(sexuality)

「誰を好きになるか」「性的な関心をどう持つか」を表す言葉です。
異性愛、同性愛、パンセクシュアル、アセクシュアルなど、恋愛や性愛の指向を示します。

セクシュアリティは「好きになる対象」、モダリティは「性自認と割り当てとの関係性」を表すため、まったく別の軸です。

Q&A

Q1. ノンバイナリーはトランスジェンダー・モダリティに含まれますか?
A. 学術的には含まれます。ただし当事者の中には「自分はトランスに含まれたくない」と感じる人もいます。

Q2. 「どちらにも属さないモダリティ」はあるの?
A. 正式には「シスとトランス」の二つしかありません。しかし、当事者の声を受けて「第三のモダリティが必要」との議論も起きています。


最後に:表現の幅を尊重するためのジェンダー・モダリティ

この記事では、学術的な枠組みとしての定義を中心に解説してきました。
現在の研究では「シスジェンダー・モダリティ」と「トランスジェンダー・モダリティ」の二つで整理されています。

ただし忘れてはいけないのは、「トランスジェンダー」という言葉の捉え方は人によって異なるという点です。

ある人にとっては「トランスジェンダー=出生時の割り当てと自認が異なる人」という包括的な意味

一方で、ノンバイナリーやXジェンダーなど二元論に収まらない性を強調したい人にとっては、「トランスという括りに含まれること自体に違和感がある」と感じる人もいる。

このように、同じ言葉でも受け止め方に幅があるのです。


第三のモダリティは必要なのか?

最近の研究では、ジェンダー・モダリティを「シスかトランスか」の二分で考えるのではなく、もっと流動的なあり方としてとらえる動きも出ています。

たとえば若者を対象にした調査では、ジェンダーの感じ方が時間とともに変化したり、揺れ動いたりするケースが多く報告され、これを「非線形のジェンダー・モダリティ(nonlinear gender modalities)」と呼んでいます(PMC, 2024)。

これは「必ずシスかトランスに分けられるものではなく、もっと柔軟で多様なあり方がある」ということを示していて、第三のモダリティが必要ではないかという議論を後押しする根拠にもなっています。

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まとめ

ジェンダー・モダリティは、出生時に割り当てられた性と性自認の関係を整理するために生まれた新しい枠組みです。
シス/トランスの二分だけでなく、ノンバイナリーやアジェンダーなども説明できる点で有効ですが、当事者の中には「トランスという括りに含まれたくない」と感じる人もいます。

今後は「第三のモダリティ」が必要かどうかという議論も進んでいくでしょう。
ジェンダー・モダリティという概念は、こうした多様な声を尊重しながら、性のあり方を整理するための道具であると言えます。

ここまで読んでくださって、
ありがとうございます。

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