アセクシャルとは「他者に性的に惹かれない指向」、
アロマンティックとは「恋愛感情を抱かない指向」です。
どちらも「ある/ない」で分けられるものではなく、
スペクトラム(連続体)として捉えられています。
この記事では、
「アセクシャルとは?」
「アロマンティックってどういう意味?」と気になった方に向けて、
それぞれのスペクトラム(連続的な幅)に含まれる用語の意味・種類・特徴を一覧でわかりやすく解説します。
「自分はアセクシャルなのかな?」
「恋愛感情がわからない」
「どんな言葉があるのか知りたい」
そんなふうに感じて検索してくださった方の参考になればうれしいです。
この記事でわかること
- アセクシャル/アロマンティックの意味と違い
- 恋愛・性愛の指向をグラデーションでとらえる「スペクトラム」の考え方
- 海外でも使われている用語の種類と特徴一覧
- 自分がどこに当てはまるのか考えるヒント
- よくある疑問(FAQ)
スペクトラムとは?──グラデーションで捉える性のあり方

アセクシャルやアロマンティックは、どちらも「スペクトラム(連続体)」として考えられています。
「スペクトラム」というのは、はっきりと2つに分けられないものを、グラデーション(うつり変わり)として考えるという意味です。
たとえば食べ物について考えてみたときに、
「好きか嫌いか」ではなく、「まあまあ好き」「ちょっと苦手」など、気持ちが少しずつ変わることがありますよね。
恋愛感情や性的な気持ちも、それと同じように、人によって強さや感じ方がバラバラで、はっきり「ある/ない」で区別できるものではありません。
「ほとんどない」「ときどきある」「条件がそろったときだけ感じる」など、グラデーションの中にいる人がたくさんいます。
そうした“いろいろな感じ方”を表すために、「スペクトラム」という言葉が使われています。
私自身、最初は恋愛感情にピンとこない自分がいて、
「もしかして、変な性癖があるのかな」とか、
「どこかおかしいのかな」とかと悩んでいました。
でも「アロマンティック」や「アセクシャル」という言葉を知り、自分にも近い感覚があることに気づいたとき、とても安心したのを覚えています。
私は現在「グレー寄り」だと感じていて、「アセクシャルとは?」「アロマンティックとは?」の記事にも、そのあたりの揺れる感覚を詳しく書いています。


アセクシャルスペクトラムの種類と特徴【性的指向】
| 用語 | 特徴(意味) |
|---|---|
| アセクシャル(Asexual) | 他者に性的な惹かれを感じない人。恋愛感情を持つかどうかは人によって異なります。 |
| グレーセクシャル(Graysexual) | 基本的には性的な惹かれを感じないが、稀に性的な惹かれを感じることがあり、その頻度や条件は人によって大きく異なります。 |
| デミセクシャル(Demisexual) | 深い信頼関係が築かれたときにのみ、性的に惹かれる人。 |
| リスセクシャル(Lithsexual) | 性的に惹かれることはあるが、相手から好意を向けられると惹かれが消えたり、関係を望まなくなる人。 |
| クワセクシャル(Quoisexual) | 自分の性的指向を分類できない・違和感がある人。 |
| フレイセクシャル(Fraysexual) | 初対面のときに惹かれ、関係が深くなると惹かれなくなる人。 |
| レシセクシャル(Reciprosexual) | 相手に好意を持たれたときだけ、性的に惹かれる人。 |
| エゴセクシャル(Aegosexual / Autochorissexual) | 想像の中での性はOKでも、現実の関係には興味がない人。 |
| キュピオセクシャル(Cupiosexual) | 性的な惹かれは感じないが、性的な関係や親密さを持ちたいと感じる人。 |
※アロマンティック・スペクトラムの用語は、 恋愛感情の「感じ方の傾向」を表すもので、 人によって重なったり、時間とともに変化することもあります。 どれか一つに決める必要はありません。
AVEN
LGBTA Wiki_Asexual_Spectrum
アロマンティックスペクトラムの種類と特徴【恋愛指向】
| 用語 | 特徴(意味) |
|---|---|
| アロマンティック(Aromantic) | 他者に恋愛感情を抱かない人。性的指向とは別です。 |
| グレーロマンティック(Grayromantic) | 基本的には恋愛感情を抱かないが、特定の状況や条件で稀に芽生えることがある人。 |
| デミロマンティック(Demiromantic) | 信頼関係が築かれたときにのみ恋愛感情が芽生える人。 |
| リスロマンティック(Lithromantic) | 恋愛感情はあるが、相手から好意を向けられると惹かれが弱まったり、関係を望まなくなる人。 |
| クワロマンティック(Quoiromantic) | 恋愛感情を分類できない・定義に違和感がある人。 |
| フレイロマンティック(Frayromantic) | 出会った直後は恋愛的に惹かれるが、関係が深くなるにつれて惹かれを感じなくなる人。 |
| レシロマンティック(Recipromantic) | 相手に好意を持たれたときだけ恋愛感情を持つ人。 |
| エゴロマンティック(Aegoromantic / Autochorisromantic) | 恋愛物語や妄想は好きだが、実際の恋愛には興味がない人。 |
| キュピオロマンティック(Cupioromantic) | 恋愛感情は抱かないが、恋愛関係やロマンティックな関係性を持ちたいと感じる人。 |
※アロマンティック・スペクトラムの用語は、 恋愛感情の「感じ方の傾向」を表すもので、 人によって重なったり、時間とともに変化することもあります。 どれか一つに決める必要はありません。
恋愛指向と性的指向のスペクトラムマップ

恋愛指向と性的指向の2軸で自分をマッピングすると、
次のようなタイプが見えてきます。
恋愛なし×性欲なし (左下)→ アロマンティック・アセクシャル
恋愛あり×性欲なし(右下) → ロマンティック・アセクシャル
恋愛なし×性欲あり(左上)→ アロマンティック・セクシャル
恋愛あり×性欲あり(右上) → ロマンティック・セクシャル
図で整理すると、自分の立ち位置が見えやすくなるかもしれません。
Aroace(アロマンティック × アセクシャル)とは?
Aroace(アロエース)とは、アロマンティック(恋愛感情を抱かない)とアセクシャル(性的な惹かれを感じない)の両方に当てはまる人を指す言葉です。
「恋愛感情も性的な惹かれもほとんど感じない」
「誰かを好きになる感覚が、恋愛とも性愛とも違う」
そんな感覚を持つ人が、自分を説明する言葉として使うことがあります。
Aroaceは単一の性質を表す言葉ではなく、アロマンティック・スペクトラムとアセクシャル・スペクトラムが重なり合う位置を示す、いわば“複合的な呼び方”です。
そのため、
- パートナーを持たない人
- QPR(クィア・プラトニック・リレーションシップ)を選ぶ人
- 家族や友人とのつながりを大切にする人
など、関係性の形は人それぞれです。
「恋愛や性愛がない=孤独」というわけではなく、
自分に合ったつながり方を選んでいるという理解が広がっています。
AVEN(Asexual Visibility and Education Network)
LGBTA Wiki – Aromantic asexual
Aroflux / Aceflux(変動するスペクトラム)とは?
Aroflux(アロフラックス)や Aceflux(エースフラックス)は、恋愛感情や性的な惹かれの強さ・有無が、時間や状況によって変動することを表す言葉です。
- ある時期は恋愛感情がほとんどない
- 別の時期には、わずかに惹かれを感じることがある
- 環境や人間関係によって感覚が変わる
といったように、感じ方が固定されていない人が使うことがあります。
Aroflux / Aceflux は、
- 「前はしっくり来ていたラベルが、今は合わない」
- 「自分の感覚が変わってしまったのでは?」と不安になる
そんな人にとって、変化そのものを前提にしたスペクトラムの考え方を示す言葉でもあります。
感じ方が変わることは、迷いやブレではなく、スペクトラム上で自然に起こる変化のひとつです。
LGBTA Wiki – Aroflux
LGBTA Wiki – Aceflux
Stonewall
恋愛・性愛にとらわれない関係性もある|QPR(クィア・プラトニック・リレーションシップ)とは?
恋愛感情や性的な惹かれが少ない、もしくは存在しない場合でも、大切な人と深い信頼関係を築くことはできます。
QPR(Queer Platonic Relationship/クィア・プラトニック・リレーションシップ)とは、
恋人でも家族でもないけれど、友人以上に強い絆で結ばれる関係のこと。
この関係性は、アセクシャルやアロマンティックといったスペクトラムにいる人にとって、
「自分らしいつながり方」のひとつとして選ばれることがあります。

アセクシャル、アロマンティックにドンピシャではないと感じる
「自分は何者なのか、まだわからない」
「この言葉もあてはまる気がするけど、どれも決め手じゃない」
私もずっとそんなふうに悩んでいました。
でも、「グレー」でいることは、未完成ではなく、ひとつのあり方です。
スペクトラムという考え方が、「決めなくてもいい」「あいまいさごと大切にしていい」と教えてくれました。
私の場合、自分のセクシュアリティは何だろう?と思って受けてみたセクシュアリティ診断は、
5回目でようやく納得いく答えに出会えました。

よくある質問(FAQ)|アセクシャル・アロマンティック編
Q. アセクシャルとアロマンティックの違いは何ですか?
A.
アセクシャルは「他者に性的な惹かれを感じない指向」、
アロマンティックは「他者に恋愛感情を抱かない指向」を指します。
この2つは別の概念なので、
- アセクシャルだが恋愛感情はある人
- アロマンティックだが性的な惹かれはある人
- 両方に当てはまる人(アロマンティック・アセクシャル)
など、さまざまな組み合わせがあります。
Q. 「グレー(グレーセクシャル/グレーロマンティック)」とはどういう意味ですか?
A.
「グレー」とは、惹かれがまったくないわけではないが、非常に弱い・稀である・条件付きで起こるといった、あいまいな感覚を含む言葉です。
- ほとんど惹かれを感じない
- 人生で数回しか感じたことがない
- 特定の状況や相手に限って感じる
このように、「ある/ない」の二択では表せない感覚を表すために使われます。
Q. 自分にぴったりの言葉が見つからないのですが、決める必要はありますか?
A.
無理に決める必要はありません。
セクシュアリティの言葉は、自分を縛るラベルではなく、理解を助けるための道具です。
「今の自分に近そうな言葉を、参考として借りておく」
「しっくりこなくなったら、使うのをやめる」
そんな柔軟な向き合い方で問題ありません。
Q. アロマンティックは恋愛感情を抱くことがありますか?
A.
一般的には、アロマンティックは恋愛感情を抱かない、またはほとんど抱かない指向を指します。
恋愛感情の有無や強さには個人差やスペクトラムがあり、
「まったく感じない」「ごく稀にしか感じない」といった幅が含まれますが、
恋愛感情を前提としない指向である点が基本的な定義です。
Q. アロマンティックでも誰かと親密な関係を築くことはありますか?
A.
あります。
ただしそれは、恋愛感情を前提とした関係とは限りません。
アロマンティックの人の中には、
- 友情や信頼をベースにした深い関係
- 生活や人生を共有するパートナーシップ
- QPR(クィア・プラトニック・リレーションシップ)
など、恋愛とは異なる枠組みでの親密な関係を選ぶ人もいます。
どのような関係を望むかは人それぞれです。
Q. アロマンティックでも結婚することはありますか?
A.
あります。
結婚は必ずしも恋愛感情を前提とした制度ではありません。
実際に、
- 生活や価値観を共有するため
- 家族としてのパートナーシップを築くため
- 法的・社会的な理由から
といった理由で結婚を選ぶ、アロマンティックの人もいます。
恋愛感情の有無と、結婚するかどうかは必ずしも一致しません。
Q. アロマンティックやアセクシャルは「治る」ものですか?性格の問題ですか?
A.
いいえ。
アロマンティックやアセクシャルは、病気や性格の問題ではありません。
これらは、
人が持つ恋愛感情や性的な惹かれの自然な多様性(スペクトラム)の一部と考えられています。
Q. セクシュアリティは後から変わることがありますか?
A.
あります。
セクシュアリティは固定されたものではなく、
人生経験や環境の変化によって、感じ方が変わることもあります。
ただしそれは、
- 「今までが間違っていた」
- 「本当は違った」
という意味ではありません。
その時点での自分の感覚が、常に正当なものです。

