本音を飲み込んでしまうあなたへ—小さな“できた”が心を守る

「言えなかった」「また黙ってしまった」——
そんな日が続くと、自分がどんどん小さくなっていく気がしませんか。

パートナーに本音を伝えようとしても、空気を壊すのが怖くて飲み込んでしまう。
「自分が我慢すればうまくいく」と思うたび、心が少しずつ遠ざかっていく。

それでも、あなたが沈黙してしまうのは、弱いからではなく、
「関係を壊したくない」「相手を大切にしたい」という優しさの表れです。

私もずっとそうでした。
けれど、“できなかった自分”を責める代わりに、
小さな「できた」に気づくようになってから、関係の中で少しずつ呼吸ができるようになったんです。

この記事では、そんな私の体験と、
心理学でいう「自己効力感(じここうりょくかん)」——
“自分には行動を選ぶ力がある”という感覚を育てるヒントをお伝えします。


目次

自己効力感とは? “できる”という静かな自信

心理学者アルバート・バンデューラは、
自己効力感(self-efficacy)を「自分には状況をうまく扱える力がある」と信じる感覚だと定義しています[1]。
これは「私は完璧にできる」という思い込みではなく、
「私は自分の行動を選べる」という、現実的で穏やかな自信のこと。

バンデューラはこの自己効力感を育てる4つの「源(みなもと)」を挙げています[2]。
ここでは少しやさしい言葉に言い換えて紹介します。


1. できた体験(遂行体験)

小さくても「自分でやってみて、できた」経験。
たとえば、少し勇気を出してパートナーに自分の予定を共有できた。
それだけでも、“関係の中で自分を表現できた”という成功体験です。


2. まねして学ぶ体験(代理体験)

誰かが自分らしく生きている姿を見て、「自分にもできるかも」と感じること。
SNSで自分のセクシュアリティを自然に話している人を見たとき、
ほんの少し心が動く——それも自己効力感の種です。


3. 言葉の後押し(言語的説得)

「あなたのままで大丈夫」「今日はここまでできたね」と
誰かに言ってもらったり、自分に優しく言い聞かせたりすること。
その言葉が、行動のエネルギーになります。


4. 気持ちと体のコンディション(情動的・生理的喚起)

緊張や不安を整えること。
深呼吸、音楽、少しの休息——心を落ち着ける時間を持つことで、
「もう一度やってみよう」と思える余白が生まれます。


ユウの体験談:沈黙の中にあった“小さなできた”


言えなかった自分に、少しずつ気づく

私がパートナーとの関係で苦しかったのは、
「空気が悪くなりそうだから」と自分の意見を飲み込んでしまうことでした。

相手がこちらの気持ちを受け止められなさそうなとき、
私は黙ることで関係を保っていました。
でもそのうち、気づいたんです。

「結局、私が黙ってたら平和だけど、私がいなくなっていくみたいだな」

黙るたびに、部屋の空気は穏やかになるけど、
私の中の声はどんどん小さくなっていきました。
それは「優しさ」でもあり、「自己喪失」でもありました。


できたことに気づいた瞬間

そんなある日、スケジュールを共有する何気ない会話の中で、
私は自分の配信活動(ブログやラジオ)について話していました。

「今週のテーマは、セクシュアリティの話なんだ」

ふと、自分でも驚くほど自然に口に出せていたんです。
議論を始めたわけでも、勇気を振り絞ったわけでもなく、
“日常の報告の一部として話せた”という小さなできた。

たったそれだけなのに、
心の奥で「大丈夫だった」という感覚が生まれました。


少しずつ変わっていった関係

その経験をきっかけに、
「話しても大丈夫かも」という安心感が少しずつ増えていきました。

それまではパートナーの反応ばかりを気にして、
どこか構えていた自分に気づきました。
私の警戒が、相手の心を閉ざしていた部分もあったのかもしれません。

自分の中に「どうなりたいか」という軸ができてからは、
相手の反応よりも、自分の誠実さを大切にできるようになっていきました。


小さな“できた”を育てる日常習慣

関係の中で自分を見失いそうなとき、
次の4つの「小さなできた」を意識してみてください。


1. 自分の気持ちに気づけたら、それも“できた”

たとえ言えなくても、「言いたい気持ちがある」と気づけた時点で前進です。
気づく力は、自分を理解する第一歩。


2. 日常の中で少し“本音を混ぜる”

「今日は疲れてるから先に休むね」
「今はこの話、ちょっとしんどいかも」
そんな小さな正直さを口にできたら、それだけで大きな変化です。


3. 自分に優しい言葉をかける

「黙ったのも、あの時の私には必要だった」
「私は、関係を大切にしようとしていた」
過去の自分を責めず、理解する視点を持つことが“できた”の積み重ねです。


4. 気持ちと体を整える時間を持つ

話せなかった日は、音楽を聴く・お風呂にゆっくり入る・静かな時間をつくる。
心のスペースを整えることが、次の一歩を支えます。


メッセージ:自分を理解することから、関係は変わっていく

今は、親しい人があなたを理解してくれないことに焦りを感じるかもしれません。
でもそれよりもまず、自分自身が自分を理解してあげることが大切です。

自分の感情や限界を知り、
「いまの私はこう感じてる」と認められるようになると、
その静かな誠実さが、関係の中で新しい安心を生み出します。

小さな“できた”は、いつもあなたの中にあります。
それに気づくたび、あなたは少しずつ、
“自分を消さずにいられる関係”へ近づいているのです。

参考資料

[1]APA Dictionary of Psychology – Self-efficacy
https://dictionary.apa.org/self-efficacy

[2]Simply Psychology – Self-Efficacy: Bandura’s Theory
https://www.simplypsychology.org/self-efficacy.html

ここまで読んでくださって、
ありがとうございます。

「“ちゃんと”生きてるつもりなのに、なぜかずっと苦しい」

「この気持ち、誰にもわかってもらえないかも…とあきらめてきた」

「“普通”を装ってきたけど、本当の自分がどこかに置いてけぼり」

「恋愛や性別のことを考えるたび、なんでこんなにモヤモヤするんだろう」

「みんなと同じようにできない自分が、どこかおかしいのかな?」

 

そんな思いを抱えたあなたへ。

 

このブログでは語りきれない、
セクシュアリティや違和感、自分らしさとの向き合い方を、
あなただけに届ける“手紙”のようなメルマガでお届けしています。

 

こんなことを書いています

・「わたしって何者?」がわからなかったときの話
・性別や恋愛感情に名前がつかなくて戸惑った過去
・“ふつう”になれない苦しさと、そこからの一歩
・本音を話せる人がいなかった日々のこと …など

 

誰かに言えないまま、心にしまってきたあなたへ。

【あなたは、あなたのままでいい】

そう思えるきっかけになれたら嬉しいです。

 

 

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「あなたは、あなたのままでいい」 ユウからの手紙




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