名前のない関係に終止符を。
2人が“恋人”になるまでのラストストーリー。
3児の親でありXジェンダー(ノンバイナリー)。
30歳から「自分らしい生き方」を探求中のユウです。
『セマンティックエラー』漫画
シーズン1、2と感想を書いてきたんですが、
いよいよ3まで来てしまいました!
シーズン1、2のレビューはこちらからご覧になれます。
というわけで、
早速書いていきましょう。
セマンティックエラー漫画シーズン3は「関係に名前がつくまで」の物語
曖昧なまま進んできた2人の関係。
でも、“恋人”ではないのに心を奪われ、
嫉妬し、名前のない関係に苦しむ。
それがシーズン3で描かれるテーマです。
シーズン3は、
愛情・嫉妬・すれ違い・後悔、色々な感情がぶつかり合いながら、
「この先、2人はどうなってしまうの?」
「この関係、本当に解決できるの?」と
読んでいる側からすると本当に、
ハラハラドキドキのジェットコースターのような展開です。
このレビューでは、漫画で描かれた見どころと、
原作にあって漫画で描かれなかった印象的な場面にも触れながら、
2人のラストシーズンを振り返ります。
まだ読んだことがないよ!という方は
LINE漫画で日本語版が読めるので、
是非読んでみてください

曖昧な関係に溺れていく2人 ※ここからネタバレあり
シーズン2では行為に失敗してしまった二人でしたが、
シーズン3で二人はついに肉体関係まで発展します。
これまでの二人にとっては、
行為をしてみること=二人の間の問題を解決すること
だったんですよね。
ジェヨンは、
「1度体を重ねれば、気が済むだろう」
と思っていて、
サンウにとって肉体関係を持つことは、
「異常な欲情」という問題を解決するための
一つの手段なのです。
しかし、いざ一度行為をしてみると、
ジェヨンは飽きるどころか、
ますますサンウの沼にはまってしまうのでした。
一方のサンウはというと、
行為に満足している様子で、
ジェヨンからの熱烈な愛情表現を素直に受け入れていきます。
一見うまくいっているように見える二人でしたが、
「曖昧」な関係であることがどんどん二人の足枷になっていくのです。
サンウ、初めての“嫉妬”からの爆弾投下
シーズン3でも二人は順調にゲームの制作を続けていきます。
そんな中で、
ゲームのBGM制作を外注していたジェヨンは
サンウと一緒にサウンドスタジオへ。
そこで、
ジェヨンに対する女性の露骨なアプローチをみて、
サンウは初めて不快感を抱くのです。
サ、サンウが嫉妬してる!!!と
感動が止まりません。
その後、
ジェヨンが女性からのアプローチを断る時にいうセリフや、
不機嫌なサンウのご機嫌を取ろうと頑張るジェヨンが可愛いので、
そちらは本編でお楽しみください。
さて、サンウが嫉妬心を覚えて、いよいよ恋心を自覚するかと思いきや、
ジェヨンに「ロボット(サンウ)が嫉妬するなんて…」と言われると
「そんなんじゃありません」と真面目な顔で返すのです。
おや?雲行きが怪しくなって来たぞ?
実はサンウは、
ジェヨンが結婚適齢期の女性をよそに自分と付き合っている理由について、
「不快感」をきっかけに初めて疑問を抱きます。
そして、ジェヨンはいずれ自分の元を去って
他の女性と付き合うのだろう、と考えます。
一方のジェヨンは、サンウのことが大好きなんだけど、
ダイレクトに「好き」と伝えると
サンウが逃げてしまうのではないかと不安に思っているため、
言葉ではなく行動で一生懸命愛情を伝えようとします。
しかし、間接的な表現を察するのが苦手なサンウには
ジェヨンの愛情表現がうまく伝わらず、
2人の気持ちはすれ違います。
そしてついに、サンウは特大の爆弾を投下します。
「牛乳が切れたら飲むのをやめるか、新しく買ってくるまでのこと」
サンウはジェヨンが女性にモテまくる様子を見て、
初めて危機感を覚えました。
しかしそれは、「他の人に取られるかも…」という気持ちではなくて、
ジェヨンがいなくなった後の”対策”を何も考えていなかった
自分に対する危機感なのです。
その結果、どうやってジェヨンの代わりを探すか、
という方向に考えをシフトチェンジするんですね。
ここに来て、
しばらく鳴りを潜めていた超合理主義のサンウが
再び登場してしまうんですね。
よくある恋人同士の会話だったらきっと、
「行かないで」とか「俺とずっと一緒にいてください」とか
そういう言葉を言うはずの場面で、
(ジェヨンはその言葉が出てくると期待していたに違いない)
こんなことを言ってしまうのには、
サンウの今までの生き方が影響していました。
サンウは孤高のブラックマンバ。
孤独な彼は今まで困ったことに遭遇したとき、
「誰かに頼る」「一緒に解決する」という選択肢はなく、
一人で問題に立ち向かってきたのです。
サンウ的にはジェヨンが留学に行くことや
将来的に女性とお付き合いすることを邪魔するつもりはないから、
自分が一人でどうにかするしかない、と思っているんですよね。
しかし、爆撃投下されたジェヨンはというと、
それはもう傷ついてしまうのです。
今までサンウに注いできた愛情は無駄だったのか、
恋愛感情を抱いていたのは自分だけだったのか、と
絶望感に打ちひしがれ、
ジェヨンはそのまま音信不通になってしまうのでした。
ジェヨンの留学も目前に迫る中、
二人の関係はどうなってしまうのか、
ハラハラドキドキの展開です。
傷つけ合い、すれ違い、それでもお互いの「代わり」はどこにもいない
ジェヨンが去り、
彼の不在に耐えられなくなったサンウは、
今まで決まった日に決まった服を着ていたルーティンに逆らって、
ジェヨンが買ってくれた服を着て学校にやって来ます。
そして、ジェヨンのルームメイトの先輩が
ジェヨンに“お灸をすえる”ために、
サンウに一人でバーに行くように仕向けます。
ルームメイトからサンウの素敵な写真が送られて来たジェヨンは、
駆け引きをやめて、
ついに自分の気持ちを伝える覚悟を決めます。
一方のサンウは、
なぜジェヨンが怒っているのかもわからず、
「自分のことを飽きてしまったのではないか」
と悶々としながら、泥酔するまでバーでお酒を飲みます。
サンウを探し回っていたジェヨンと泥酔のサンウは
街中で鉢合わせるのですが、
二人はとある出来事がきっかけで、
再びものすごい喧嘩をしてしまいます。
漫画では、
二人の感情と場所の二つの”すれ違い”が丁寧に描かれています。
柄にもないことをして自暴自棄になるサンウと
サンウの前ではカッコつけられず、無様にすがるジェヨンの姿は
とてももどかしく、切なくて目が離せません。
そんな二人の物語は本編でじっくり読んでくださいね^^
せっかくいい感じになりそうだったのに、
またしてもこのすれ違いカップルは喧嘩するんですよね。。。
しかし、
ケンカの途中で泥酔したサンウがポツリとこぼしたセリフが
傷ついたジェヨンの心に再び火を灯すのです。
「ジェヨンさんみたいな人は、どこに行けば見つかるんです?」
「そもそも存在するんですか?」
ジェヨンはこのセリフを聞いて
驚いた表情で「….」となるのですが、
読んでいるこちらも息止まってます、はい。
なにそれ、殺し文句がすぎるよサンウちん。
「あなたの代わりなんていない」。
そう言ってるんだよね?サンウ?
ケンカップルよ、永遠に。
さて、このセリフなんですが、
原作小説の2巻の表紙でも使われています。
日本語訳版の表紙のセリフはこちら
兄さんに似ている人、どこで探せばいいんですか?他にいるんですか?
ここで書かれている「兄さん」というのが、
シーズン1のレビューでも触れましたが、
韓国語でいう「향(ヒョン)」なんですよね。
これは、男性が信頼している年上の男性に使う言葉で、
嫌いだと思っている相手には使わないんですよ。
そう思うと、
「兄さん」と「他にいるんですか?」の組み合わせは、
ダブルでパンチが効いていますよね。
漫画では描かれなかった、原作の”あの”シーンについて
・人に恋愛感情を抱いたことのないサンウがどうやって恋心を自覚するの?
・二人はどうやって結ばれるの?
・ジェヨンは留学に行ってしまうの?
・二人が作って来たゲームはどうなるの?
この辺りはセマンティックエラーの漫画シーズン3の方で
是非とも読んでいただきたいです。
シーズン3のラストで無事に結ばれた二人。
サンウがジェヨンに3つのお願いをするシーンがあり、
これは原作通りなのですが、
漫画では描かれなかったもう一つ重要なシーンがありました。
僕と恋愛するとしたら、三つのことに留意してください。
お願い事をする前に、原作では恋愛をするにあたって
ジェヨンと3つの約束事をするんです。
- 他の人に笑いかけたり、肩を組んだり、頭を撫でたりしない(閲覧権、使用権はすべてサンウのもの)
- いくら怒っても、音信不通にならない
- 大声で怒らない
そして、これらの約束を
ジェヨンは喜んで受け入れるんです。
このシーン、漫画にも入れて欲しかった!
と個人的には思いました。
実はこの3つの約束が、
外伝でも重要な要素になってくるんですよ。
もし今後、漫画で外伝も描いていただけるなら
是非この約束シーンも追加して欲しいです。
おわりに
ここまで、セマンティックエラー漫画シーズン3の
感想を描いてきました。
セマンティックエラーは
ジェヨンとサンウの先輩後輩の関係が
セフレを経て恋愛感情になるまでが丁寧に描かれているので
とても読み応えがあって、
何回読んでも新しい発見があります。
「サンウはこの時から特別な感情を抱いてたのかな」
「ジェヨンはなんで今までの恋愛と違ってサンウに飽きなかったんだろう」
そんなふうに、考えながら読んでいくと
考察も捗ります。
原作の外伝も、ぜひ漫画化して欲しいです!
そして、原作でも描かれていない「サンウとジェヨンの結婚式」も
描いて欲しい!
お願いします本当に、切に。
私がこうしてセマンティックエラー愛を皆さんに伝えることで、
この作品が一人でも多くの人に気に入ってもらえたらとても嬉しいです。
まだまだ語り尽くせない感想については、
私のSNSのコメント欄などで会話したいです。
よろしくお願いします。
こんなオタクな一面も、
これから出せて行けたらいいなと思います。
あなたは、あなたのままでいい。