保育園で「ママきたよー」と呼ばれるたびに、少しだけ自分とのズレを感じてしまう。
そんな違和感を抱えながら、「保育園に性自認を伝えるべきか」「カミングアウトした方がいいのか」と悩んで検索している人もいるかもしれません。
私自身、夫の転勤でこれまでに4つの保育園に子どもを預けてきました。その中で、
・性自認について伝えなかったパターン
・カミングアウトして伝えたパターン
どちらも経験しています。
この記事では、「どちらが正解か」を決めるのではなく、実際にやってみて感じたメリット・デメリットや判断の基準をまとめています。
保育園に性自認を伝えるか迷う理由
保育園に性自認を伝えるかどうかは、簡単に決められる問題ではありません。
・「ママ」「お母さん」と呼ばれる違和感
・カミングアウトするハードルの高さ
・子どもへの影響が気になる
・アウティングなどのリスク
こうした複数の要素が重なって、「伝えた方がいいのか」「伝えない方がいいのか」で悩みます。
私自身も、最初から「伝えよう」と決めていたわけではなく、状況ごとに迷いながら選んできました。
性自認を伝えなかった場合のリアルな体験
保育園で性自認を伝えなかった場合でも、日常生活は問題なく回ります。
ただ、違和感は残ります。
例えば、ママ友との会話。
「ママ」として話していると、どこかで自分を演じているような感覚がありました。
本当の自分はこうじゃないけど、「ママだったらこう言いそう」という振る舞いをしてしまう。
大きなストレスではないものの、
・自分と「ママ」という役割のズレ
・自分を出しきれていない感覚
が小さなストレスとなって、日々少しずつ積み重なっていくような感覚がありました。
性自認を伝えないメリット
一方で、保育園や周囲に性自認を伝えないことにはメリットもあります。
特に、関係が短期間で終わる人たちとの関わりでは、そのメリットを強く感じました。
例えば、
・児童館でたまたま会う人
・公園で数回会うだけの親子
こういった関係の中で毎回カミングアウトするのは、かなりエネルギーを使います。
さらに、伝えた後に質問されることや説明を求められることもあり、その対応にも消耗します。
そのため私は、
・どれくらい長く関わる相手か
・その後どれくらい説明が必要になりそうか
を考えて、「言わない方が楽かどうか」で判断することもあります。
保育園に性自認をカミングアウトした体験談
実際に保育園に性自認を伝えたときは、2つの方法を経験しました。
名刺で遠回しに伝えたケース
初めてカミングアウトしたときは、直接伝える勇気がなく、名刺を使いました。
ブログやメルマガのQRコードを載せた名刺を渡し、「こういう発信をしているので、よかったら見てください」と伝えました。
遠回しな方法だったため、何も変わらない可能性もあると思っていましたが、園長先生が内容を読んでくれ、
翌日から「ママ」ではなく「ユウさん」と呼んでくれるようになりました。
園長先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。
連絡帳でシンプルに伝えたケース
現在の保育園では、慣らし保育の期間中に連絡帳で伝えました。
実際の内容は以下の通りです。
「いつも温かくご対応いただきありがとうございます。
一点ご相談させてください。
私は性自認が女性ではないため、家庭では子どもに「ママ」「お母さん」ではなく、名前で「ユウ」と呼んでもらっています。
園でも可能な範囲で「ユウ」「ユウちゃん」「ユウさん」などと呼んでいただけると嬉しいです。
ご理解・ご配慮いただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。」
専門用語は使わず、お願いしたいことだけをシンプルに伝えました。
保育園側のリアルな反応
実際に性自認を伝えたとき、想像していたよりもずっと自然な反応でした。
私は、
・対応を断られるかもしれない
・特別扱いはできないと言われるかもしれない
と考えていました。
しかし実際には、
「連絡帳見ました。園内で共有しますね」
と、とてもスムーズに対応してもらえました。
その後も特別な空気になることはなく日常生活を送れています。
性自認を伝えたことで変わったこと
保育園の対応自体は、他の保護者と大きく変わることはありませんでした。
ただし、呼び方が変わりました。
・苗字で呼ばれるようになった
・子どもに対して「ユウきたよ」と声をかけてくれるようになった
その様子を見たとき、
柔軟に対応してもらえたことへの驚きと、伝えてよかったという安心感がありました。
子どもへの影響と呼び方の重要性
私にとって最も大きなポイントは、子どもへの影響です。
他の大人から「ママ」と呼ばれること以上に、
自分の子どもが「ママ」と呼ぶことの方が、心理的なダメージが大きいと感じています。
そのため、
保育園で先生が「ユウ」と呼んでくれることは、子どもの言葉にも影響し、とてもありがたいと感じています。
家庭では名前で呼んでもらい、親としての呼び方は「マミー」を使うなど、自分にとって無理のない形を選んでいます。
保育園に性自認を伝えるタイミング
実体験としては、入園して早い段階で伝えるのがよいと感じています。
理由は、呼び方が定着してから変更する方が、修正に時間がかかるためです。
ただし、保育園ごとに理解度や対応には差があるため、状況によって判断する必要があります。
カミングアウトの伝え方のコツ
保育園に性自認を伝える際に重要だと感じたのは、「すべてを説明しないこと」です。
「Xジェンダー」や「ノンバイナリー」といった言葉は、まだまだ、広く知られているとは言えません。
そのため、情報を増やしすぎると、かえって伝わりにくくなることがあります。
私が意識しているのは、「何をしてほしいか」をシンプルに伝えることです。
例えば、
「名前で呼んでほしい。理由は自分の性自認が女性ではないため」
これ以上のことは、説明を求められた時にすればいいや、というスタンスでいます。
性自認を保育園に伝えるメリットとデメリット
メリット
・自分らしくいられる
・子どもへの影響をある程度コントロールできる
・理解ある対応に出会える可能性がある
デメリット
・説明する負担がある
・理解されない可能性がある
・アウティングなどのリスクがある
結論 保育園に性自認を伝えるかは自分で選んでいい
私は、「保育園に性自認を伝えるべき」とは思っていません。
ただ、実際にカミングアウトしてみて、少なくとも今は、
子どもも自分も無理なく過ごせていると感じています。
一方で、
・将来の学校生活でどうなるか
・周囲の反応がどう変わるか
については、まだわからない部分もあります。
だからこれは、「正解」ではなく、「今の自分が選んでいる方法」です。
もし迷っているなら、
自分にとって一番負担が少ない選択するのがいいと思います。
あなたは、あなたのままでいい。

