私は今、三人の子どもの親であり、同時にノンバイナリー/Xジェンダー/アセクシュアル当事者でもあります。
子どもたちはもうすぐ4歳と2歳。日常の中でいちばん気になっているのが子どもからの「呼ばれ方」です。
我が家では、私は「ユウ」と呼んでもらっています。子どもたちは普段、「ユウ」「ユウちゃん」「ユウさん」と呼んでくれます。でも、上の子は保育園で周りの子が「ママ」と呼ぶのを見て、私にも「ママ」と言ってくるときがあります。
その瞬間、私はちょっと固まります。
怒っているわけじゃないし、子どもを責めたいわけでもない。ただ、なんというか、寂しく切ない気持ちになります。うまく言葉にできない、あの感じ。
この記事では、「ノンバイナリー/Xジェンダー親の“呼ばれ方”の悩み」に焦点を当てて、他の当事者の実例(私がChatGPTに調べてもらったもの)を見ながら、幼児期に起こりやすい困りごとと対策、そして私はこれからどうしていったらいいんだろう?という点について調べました。
ノンバイナリー親の呼ばれ方、みんなどうしてる?ChatGPTに調べてもらった実例
呼び名の問題は、家庭の中だけで完結しません。園、学校、親族、近所の人。生活の“外側”に触れた瞬間に、呼び名が社会のルールに引っ張られることがあります。
そこで今回、私はChatGPTに「ノンバイナリー/Xジェンダーの親は、子どもから何と呼ばれているの?」と調べてもらいました。
国内外の当事者インタビュー、コミュニティ投稿、支援団体のフォーラムなどを横断して、呼び名のパターンと背景が見える例を拾ってもらっています。
実例1 そのまま名前で呼んでもらう
海外の例だと、Alexのように「Mom」「Dad」を使わず、ファーストネームで呼んでもらう人がいます。
子どもはすぐ慣れるのに、先生や周りの大人が「お母さん」と呼び直してしまう場面が多く、行事のたびに「私はAlexで大丈夫です」と穏やかに訂正する、という話がありました。
ここで見えてくるのは、子どもよりも大人のほうが“いつもの型”に戻しがち、ということでした。
実例2 「ママ/パパ」を少しだけ変形する
「ママは違う。でも名前呼びだけだと距離がある気がする」
そう感じて、“親密さの音”を残す人も多いそうです。
例えば、英語圏だと
・Maddy(mommy+daddyの混ぜた音)
・Mapa(mama+papaの混ぜた音)
みたいな形。
日本語圏でも
・マミー
・名前+さん
みたいに「生活に馴染む音」に寄せる家庭がある、という流れでした。
実例3 「Ren(レン)」みたいに“Parent由来”の呼び名にする
英語のparent(親)から取って「Ren」と呼ばせる例もよく出てきたそうです。
「説明しやすい」「どちらにも寄りすぎない」という理由で選ぶ人がいました。
実例4 家の中と外で呼び名を分ける
家庭では中性的な呼び名、外では「ママ」も許容する(またはその逆)という例もあります。
背景にあるのは、「幼い子に説明責任を背負わせない」という考えです。
これはすごく現実的で、私の感覚にも近いです。なぜなら、4歳はまだ「ここでは言わないほうがいいよ」を場面で使い分けるのが難しいからです。
なぜ4歳前後で「ママ」と言い始めたのか
4歳くらいになると、周りの言葉をよく見て、真似をして、試してみるのが上手になります。
保育園で「ママ」が飛び交っていたら、家でも使ってみたくなる。これはすごく自然なことです。
それから、子どもにとって呼び名は「肩書き」だけじゃなくて、もっと単純に「振り向いてもらうための合図」でもあります。
・「ママ」って言ったら、すぐ見てくれる
・「ママ」って言ったら、周りの子も通じる
・「ママ」って言ったら、場がわかりやすい
だから、わざと「ママ」と言ってみて、私がどう反応するか確かめる。
これは反抗というより、「関係の確認」みたいなものに見えるときがあります。
そういう子どもの意図を感じる分、「どうすりゃいいんだこれは」と頭を抱えます。
ノンバイナリー親が抱えやすい「呼ばれ方」3つの悩み
悩み1 家ではできても、園や親族の場で“戻される”
家では「ユウ」でも、外に出ると「ママ」がデフォルト。
悪意がなくても、「普通」の力が強い場所ほど戻されます。
そしてこの“戻される作業”は、地味に削られます。
一回一回は小さくても、積もると疲れる。
悩み2 子どもに説明責任を負わせたくない
私がいちばん気をつけたいのがここです。
子どもがもし、外で「うちの親はノンバイナリーなんだよ」と言ったとき、
それが親同士に伝わって、誰かの偏見につながって、子どもへの態度が変わる。
その可能性をゼロにはできない。
だからこそ、幼児期の子どもに「言っちゃダメ」「説明しなきゃ」を背負わせたくない。
守るべきなのは、子どもの自由より先に、子どもの安全だと感じています。
悩み3 それでも“親密さ”は守りたい
呼び名は、ただの単語じゃなくて、親子の距離感そのものです。
だから、いくらニュートラルな言葉を使ったからと言って、呼ばれたくない言葉は避けたい。
でも、距離が出すぎる呼び名もなんか違う。
この“ちょうどいい音”を探すのが、地味に難しいところです。
4歳・2歳にできる「呼ばれ方」の整え方
「呼ばれ方」の実例を元に、私でもできそう!と思う順に対策方法をまとめてみました。
Iメッセージで「お願い」にする
I「アイ」メッセージは、「私」を主語にして「私はこう感じる」と伝える言い方です。
・「ユウって呼ばれると、私はうれしいよ」
・「ママって呼ばれると、私はちょっと困っちゃうんだ」
叱らない、正しさで押さない。
お願いにして、関係の安心を守る。
実際に4歳の子どもに
「ママじゃなくて、ユウとかマミーって呼ばれると嬉しいよ。呼んでくれる?」とお願いしてみると、
「オッケー」と言ってました。
今も「ママ」ということはありますが、日常で「ユウ」と言ってくれる頻度の方が高いのでそれには安心しています。
“みんなが使っているから”という圧力をどうやってかわすのか、これからのプチ悩みの一つです。
呼び名の候補を“2つまで”に絞る
選択肢が多いほど、子どもは混乱します。周りの大人も迷います。
例えば我が家なら
・基本は「ユウ」
・もう一つは「マミー」
みたいに、シンプルにする。
「どれでもいいよ」は、子どもにとっては判断が増えて疲れることがあります。
少なくして、成功体験を増やしたほうが定着しやすいのかなと思います。
園には“呼び方だけ”共有して、理由は最小限
保育園にカミングアウトするのかどうかというのも悩みです。
4月から新しい保育園にいくので、それまでに保育園側に通達しておきたいことは、
・「家では子どもにユウと呼んでもらっています」
・「園でもその呼び方で声をかけてもらえると助かります」
理由は聞かれたらそのときに。必要な範囲で。
「説明を全部する」より、単純にうちはそういう方針です、という伝え方の方がいいかなと思いました。
外と家で分けるのは“逃げ”じゃなくて“段階”
外で「ママ」と言われたとしても、家の中の安心が壊れる必要はない。
外は安全運用、家は安心ゾーン。そう割り切る家庭もあるそうです。
この方法の良いところは、「なんでも言っちゃう」時期にこちらの事情が巻き込まれにくいところ。
子どもに守秘の責任を渡さずに済みます。
後から、子どもが大きくなった時に、もう一度会議して新たな呼び方にしてもらうということもできますね。
私は今後、「呼ばれ方」とどう付き合っていきたいか
ここまで書いてきて、感じるのは、
私がいちばん守りたいのは、子どもに説明責任を背負わせないことだな、ということです。
幼児期の子どもは、まだ場面を選んで話すのが難しい。
だから外部への共有は、大人が守る領域にしておきたい。
そのうえで、子どもが「ママ」と言ってきたときも、「保育園ではそう言うよね」「みんなそう言ってるもんね」って受け止めつつ、私はIメッセージで「ユウって呼ばれるとうれしい」という気持ちを伝え続ける。
園については、まずは「呼び方だけ」共有する。
カミングアウトは、関係性と安全が整ってからでも遅くない。私はそういう順番でやっていきたいです。
そして、いつか子どもがもう少し大きくなって、「どうしてユウって呼ぶの?」と聞いてきたら。
そのとき初めて、私のことを少しずつ言葉にしていく。焦らず、段階的に。
私は三人の親で、当事者です。迷いはこれからも続くと思います。
でも、子どもとの対話はずっと重ねていきたいなと思いました。

