アイデンティティ疲れ(Identity Burnout)とは?LGBTQ+カミングアウトで“説明に消耗する”ときの対処法

3児の親でありXジェンダー。
30歳から「自分らしい生き方」を探求中のユウです。

カミングアウトを始めたばかりの頃、いちばん苦しかったのは「説明すること」でした。

自分でもまだわからないことを、誰かに伝えようとするときの、あの息の詰まる感じ。

わかってもらいたいという思いが強い分、言葉にしようとするたび、「正しく伝えなきゃ」と思ってしまう。
でも、その気持ちとは反対に、うまく伝えられない自分にもどかしさを感じたり、相手に理解してもらえないストレスも相まって、精神がどんどんすり減っていく感覚。

今回は、そんな私の体験をもとに、
「アイデンティティ疲れ(Identity Burnout)」という現象についてお話しします。

目次

アイデンティティ疲れ(Identity Burnout)とは?

「アイデンティティ疲れ(Identity Burnout)」という言葉は、英語圏では “identity burnout” や “identity fatigue” として用いられ、LGBTQ+をはじめとするマイノリティ当事者が「自分自身のアイデンティティを何度も説明しなければならない」ことによって感じる精神的な消耗やストレスを意味します。

この現象は、心理学における「マイノリティストレス理論(Minority Stress Theory)」と深く関係しています。
この理論では、差別や偏見といった外的なストレスだけでなく、自己のアイデンティティを隠したり、否定されることへの不安も、当事者のメンタルヘルスに大きな影響を与えるとされています。
(出典:Wikipedia – Minority StressLGBTQ+のメンタルヘルスに関する国際的な研究まとめ

この理論を体系化したIlan H. Meyer氏の研究では、特にLGB当事者の間でこうした慢性的なストレスが抑うつや不安などの心理的影響と関連していることが明らかにされています。
(出典:Meyer, 2003

カミングアウト初期に感じた「説明のしんどさ」

私がカミングアウトを始めたのは、30歳で自分の性別違和感にようやく向き合うようになった頃。

その時はまだ、「Xジェンダー」や「ノンバイナリー」という言葉を知って間もない時期で、
自分の中でも気持ちは揺れていたし、「これが自分だ」と言えるほど整理はできていませんでした。

そんな状態で家族や友人に話すと、
「どうしてそう思うの?」
「前からそうだったの?」
「つまり男?女?」と、次々に“説明”を求められてしまって。

わかってほしい気持ちはあったけれど、
わからないことを説明しようとするたび、心がすり減っていきました。

なぜ「説明すること」がしんどくなるのか?

① 自分の中でもまだ揺れているから

アイデンティティは「決めたら固定されるもの」ではありません。
でも、他人に話すときには、はっきり説明できなければいけないような気がしてしまいます。
揺れている途中の自分を無理に言語化しようとすると、それだけで心が消耗してしまいます。

②「正しく伝えなきゃ」という緊張があるから

誤解されたくない、否定されたくない。
だからこそ、“どう説明するか”にすごくエネルギーを使ってしまう。
そして伝えきれなかったとき、自分を責める気持ちが出てくる。

③ 相手のリアクションが怖いから

「変に思われるかも」
「拒否されたらどうしよう」
そんな不安があると、話すことそのものがプレッシャーになります。

こうしたストレスは、当事者が繰り返し感じやすいものだとされており、実際にLGBTQ+の若年層や専門職(例:医学生、医師)における研究でも「バーンアウト傾向」が報告されています。

出典:Brown University:LGB医学生のバーンアウトリスク調査(2021)
  PubMed:LGBTQ+医療従事者のメンタルヘルスと職場環境(2022)
   American Journal of Ophthalmology(AJO):職場における差別とバーンアウト

「言葉にしなくてもいい」という選択肢

今の私は、「うまく説明できない日があってもいい」と思えるようになりました。

すべてを明確にしなくてもいい。
自分を表現する言葉が日によって変わってもいい。
話したくない日は、無理に話さなくていい。

そんなふうに、自分の気持ちは「流動的」であることを受け入れ、
正解を求めなくてもいい、と思えるようになってから、気持ちが楽になりました。

自分の状態を相手が分かるように説明することは、セクシュアルマイノリティ当事者に限らず誰であれ、
難しいことだと思います。

そしてそれは、その日の気分や体調、誰と話しているかなどによっても、
常に変化するものだと思うのです。

だから、「今の私はこう」というのが前提で、その時感じたことを伝えたくなったら伝えるし、
言いたくないなら言わなくていい。

自分の気持ちを、大切にしていいと思っています。

共感し合える場の大切さ

私が運営しているTrue Colors Labというオンラインコミュニティには、
「うまく説明できないけど、理解してほしい」
「言葉にできないんだけど、この感覚を誰かに話したい」
そんな思いを持った人たちが集まっています。

似たような経験をした人と出会えるだけで、
「自分だけじゃなかった」と思える。
それだけで、少し気持ちがほっとすることもあると思います。

あなたは、あなたのままでいい

自分のアイデンティティを言葉でうまく伝えられなくても、
あなたが「そう感じている」こと自体が大切なんだと思います。

説明に疲れたときは、自分を守る選択をしていい。
言葉にならない自分の気持ちに、そっと寄り添ってみてください。

【 同じようなモヤモヤを抱えている方へ】

性別迷子な人たちが集まる、
安心して話せる居場所「True Colors Lab」を運営しています。

ご興味がある方は、覗いてみてください↓

True Colors Labの詳細はこちら

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。

もし今、

「ちゃんと生きているのに、なぜかずっと苦しい」
「誰にもわかってもらえない気持ちを抱えてきた」
「普通を装ってきたけれど、本当の自分が置いてけぼりになっている気がする」
「恋愛や性別のことを考えると、言葉にできないモヤモヤが残る」
「みんなと同じようにできない自分は、おかしいのではないかと感じる」

そんな感覚を、少しでも抱えたことがあるなら。

私からのお手紙を受け取ってほしいです。

このブログでは書ききれない、もっと深い話を、
あなたに宛てた手紙の形でお届けしています。

・自分のセクシュアリティに気づいていった過程
・名前がつかない違和感とどう向き合ってきたか
・普通に合わせ続けて苦しかった日々のこと
・本音を言えなかった過去と、少しずつ変わっていったこと

など、かなり個人的な体験も含めてお届けしています。

【こんな方におすすめです】

・自分の性や恋愛の感覚がよくわからない
・周りと違う気がして、どこか孤独を感じている
・このままでいいのかと不安になることがある
・誰にも言えないモヤモヤを抱えている

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・読者の悩みに答えるお話
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もし今、「少し読んでみたい」

そう思ったなら、その気持ちがあるうちに受け取ってほしいです。

悩みは、時間が経つとまた奥にしまい込んでしまうことがあるから。

あなたは、あなたのままでいい。

その感覚を、少しずつ思い出していける場所になれたら嬉しいです。

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『ユウからの手紙』

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